62*軌跡。Side.S ページ15
そして、俺とAは無事、母校の中学校に就職して、席も、国語科教員ってことで隣り合わせが割り当てられた。
1.2年目は、とにかくがむしゃらに仕事を覚えて、教えて…って感じで、
ミスって落ち込んでは慰め合ったり、褒められて喜び合ったり、そんな年だった。
3年目、初めての担任を持った。
俺は1-A、Aは1-B。
入学式で真新しい制服に身を包む生徒たちの隣で、俺らが一番緊張してた、と思う。
「あの子たち、3月までは小学生だったんだもんね…」
「そこが難しいよな」
中学生は、自分で決めなきゃいけないことも、責任も増える。
だけど、ついこの前までランドセル背負ってた子供なんだよなー、って思ったら中々厳しくも出来なくて、
どう接したら良いのか、よく分からなくなった。
閑散とした職員室でAと2人、日がどっぷり暮れるまで話し合ったこともある。
けど、やっぱり経験は裏切らないみたいで、段々光が見えて、少し自信を持てるようになった。
4年目、そのまま持ち上がりの俺たちは、相変わらず2人並んでて、
「なにそれ？」
「モーニングコーヒー」
「お洒落なコトしてんな」
「目覚めの一杯です〜」
「俺にも入れてよ」
「いいよ」
Aが、毎朝2人分のコーヒーを入れてくれるようになった。
毎週末の飲み会は俺らのルーティンになって、わざわざ約束することもなくなった。
右を見たらAが笑ってたり、資料と睨めっこしてたり、うとうとしてたり、
ちょっと落ち込んでたり、
色んな事に気がつくようになった、そんな年だった。
友達、仲間、親友…そんな関係はどんどんA1人で埋まっていって、
俺の人間関係のワードは全て完売するんじゃないかってくらい。
…ただひとつ、『恋人』を除いて。
5年目、俺らは3年生の担任になった。
「うーん…」
Aが出席簿を見て頭を抱えてる日が多くなったのも、この春だ。
「どうした？」
「この子…遅刻が多くて」
「二宮？」
「うん…」
色白で華奢。ふわっとした前髪が目に掛かるのが鬱陶しいのか、手で払う仕草が何故か少し色っぽい。
注意して見ても、別段問題を起こしそうには見えない、そんな生徒。
「なんかあるんじゃない？理由」
「病気とかでは無いと思うんだけど…、心配で」
「俺ももう少し探ってみるわ」
「ありがと」
ホッとしたように笑うAに、あの時と同じ場所にある自販機で買ったカフェオレを、久々に差し入れた。
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とも(プロフ) - 初めまして。とても素敵なお話で…ちょっとうるうるしちゃいました。智くん担の私的には…智くんと…って思ってしまいましたが。翔くんの甘く切ない気持ちが心に響きました。 (2020年6月30日 13時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうにゃん - めっちゃ楽しみです(≧∇≦) (2020年5月19日 1時) (レス) id: 8772c16e2a (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - sＨoさん» sHoさん、コメントありがとうございます。見つけて、読んで下さってとても嬉しいです！卒業式のシーンは、書いている私も泣きそうになってました笑 これからもどうぞよろしくお願いいたします(^ ^) (2020年4月19日 15時) (レス) id: bc361fa2d6 (このIDを非表示/違反報告)
sＨo(プロフ) - はじめまして。昨日、ふと、この作品に出会い…読み終えました。卒業式では一緒に泣きながら（笑）素敵なお話、ありがとうございました。 (2020年4月19日 2時) (レス) id: 333f9c0231 (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - みかぽさん» みかぽさん 完結まで支えてくださって本当にありがとうございました。seasonぜひ聞いてみてくださいね^ ^ これからもよろしくお願いします！ (2020年4月18日 22時) (レス) id: bc361fa2d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃夢
| 作成日時：2020年1月16日 22時
