49*優秀。 ページ2
「おー相葉、こっちこい」
「うん…」
珍しく静かにドアを開けて、職員室に入ってきた相葉くんの顔は、緊張気味だ。
翔くんが自分の席から相葉くんにひらひらと手を振って、彼を呼び寄せる。
「なに？翔ちゃん」
「五十嵐から結果が届いた」
スポーツ推薦は学校に結果が届くから、教師の口から本人に伝えることになる。
・
・
・
「合格だ、よく頑張ったな」
翔くんが、優しい笑顔で微笑んだ。
「ほんと！？」
やったー！！って相葉くんは飛び上がった。いつものキラキラした笑顔に、真っ白な歯が生える。
「小論文も非常に優秀だし、実技も申し分ない。ぜひ来てくれとのことだ」
「えー！超嬉しいんですけど！！」
相葉くんはむぎゅーっと翔くんに抱きつく。
抱きつくっていうか、もはや羽交い締め。
「痛い痛い！離せ！」
「アハッ、ごめんね」
ったく…バカ力なんだから考えろ、って呟きながら、翔くんはネクタイを直した。
「まあでも、お前はよく頑張ったよ。俺も正直あそこまで伸びると思わなかった」
相葉くんの頭に、ポンッと手を置いて、わしゃわしゃ撫でる。
「翔ちゃんのお陰だよー」
「まあ、それはそうだわ」
初めはどうしようかと思ったけどな、って翔くんが笑った。
「翔ちゃんやっぱり大好き」
黒目がちで水晶みたいな相葉くんの目は、綺麗な涙でうるうるしてる。
キモいなぁ、苦笑しながらも翔くんは相葉くんの頭を撫でる。
やっぱりずっと育ててきた子が、未来に向かって踏み出すっていうのは翔くんも嬉しいんだろう。
優しい笑顔の翔くんの目も、少しだけ潤んでた。
「Aせんせーもありがとね！」
「えっ、私？」
うんっ！って相葉くんはガクガク頷く。
「だって先生も沢山相談乗ってくれたし、翔ちゃんに怒られても慰めてくれるし！」
翔ちゃん怖いから、Aせんせーが癒しだったんだよねー、っていう相葉くんは、
また翔くんにほっぺたをむぎゅって掴まれて、ギブギブ！って訴えてた。
「どういたしまして、本当におめでとう」
こうやって、生徒がひとり、またひとりって巣立っていく季節。
教師で良かった、と思える季節。
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とも(プロフ) - 初めまして。とても素敵なお話で…ちょっとうるうるしちゃいました。智くん担の私的には…智くんと…って思ってしまいましたが。翔くんの甘く切ない気持ちが心に響きました。 (2020年6月30日 13時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうにゃん - めっちゃ楽しみです(≧∇≦) (2020年5月19日 1時) (レス) id: 8772c16e2a (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - sＨoさん» sHoさん、コメントありがとうございます。見つけて、読んで下さってとても嬉しいです！卒業式のシーンは、書いている私も泣きそうになってました笑 これからもどうぞよろしくお願いいたします(^ ^) (2020年4月19日 15時) (レス) id: bc361fa2d6 (このIDを非表示/違反報告)
sＨo(プロフ) - はじめまして。昨日、ふと、この作品に出会い…読み終えました。卒業式では一緒に泣きながら（笑）素敵なお話、ありがとうございました。 (2020年4月19日 2時) (レス) id: 333f9c0231 (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - みかぽさん» みかぽさん 完結まで支えてくださって本当にありがとうございました。seasonぜひ聞いてみてくださいね^ ^ これからもよろしくお願いします！ (2020年4月18日 22時) (レス) id: bc361fa2d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃夢
| 作成日時：2020年1月16日 22時
