39*水晶玉。 ページ39
「A先生？」
「…えっ！」
「聞いてる？」
「ごめん、ぼーっとしてた…」
アメリカ行きのために、順調に準備が進み始めた二宮くんとの話し合い。
「なんか変なのー」
「別に何もないって！ごめんね、進めよ」
机にぺたり、と倒れ込んで、ジトーっとした目を私に向ける二宮くん。
その瞳は茶色く透き通った水晶玉みたいで、なんか心の中まで見透かれそう。
「あーもしかして、…翔ちゃん？」
「…えっ！？」
二宮くんの突然の爆弾に全く対応出来なくて、口をぽかんと開けたままの私に、
彼がくくくっ、と笑いを漏らした。
翔くんの様子が変になってから、もう一ヶ月くらい経ってる。
別に意地悪をされるわけではない、嫌な事をされるわけでも無い。
…むしろ、何もしてこないんだ。
朝私のコーヒーを勝手に飲むことも、
片方の口角だけをあげて、ニヤリって笑ったりすることも、
週一の飲みに誘ってくることも、
いつもの翔くんからしたら、それは全部明らかにおかしくて、
避けられてる、って感じてしまうのは当然のこと。
どうして？って聞きたいけど、翔くんはそれを聞くタイミングも与えてくれない。
だから、モヤモヤしたまま時間だけが過ぎて行っていた。
「あれ？怪しいー」
「ち、違うって！」
話し合いを続けようと資料を広げたのに、それは虚しくも机の隙間から滑り落ちていく。
「ふふっ、先生焦りすぎだって」
器用に隙間から差し込んだ二宮くんの細くて白い腕には、その資料がしっかり握られてて、
彼の顔はニヤニヤとした笑いを浮かべてた。
この嫌味な笑い、どこかで見た気が…
あ、そうだ。顔だけは異常に整ってるところも含めて、翔くんにそっくりだ。
「まあA先生、鈍そうだもんね」
「どういうこと？」
「ん？何でもない」
二宮くんは机に置いてあった缶のブラックコーヒーを一口すすって、はぁ、と息を吐く。
「コーヒーはブラック派なのね」
「うん、そうだよ？」
二宮くんが、キョトンとした顔で私を見る。
「もしかして先生飲めないの？」
「飲める！…けど、あんまり得意じゃない」
「あんなに美味しいのに…」
二宮くんは、ありえない！と言いながら、美味しそうにまたコーヒーをすする。
「働くオトコに痺れる苦さ」がテーマのそれはは、多分数あるブラックコーヒーの中でもトップクラスに苦いやつだ。
私が一口飲んだだけで思わず顔をしかめてしまいそうになるコーヒーを、中学生の二宮くんは平然と飲んでいて、
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あやか(プロフ) - 初めまして。偶然貴方の作品に出会い読ませて頂きました。大好きな翔くんだけでなく、嵐のみんなが温かく描かれていてほっこりしました。他の作品も楽しみに読ませて頂きます。ファンの一人に入れて下さいな。 (2018年2月23日 3時) (
レス) id: 270e1ea97a (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - ＊___ noco ___＊さん» nokoさん、コメントありがとうございます(*´ー｀*) 過去作も読んで下さったなんて、嬉しいです！忙しさを理由に中途半端にしてしまいがちですが、頑張りますね(^^) これからも応援して頂けると嬉しいです…！ (2018年2月9日 15時) (レス) id: 5c4ad8d179 (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - そらさん» そらさん、コメントありがとうございます！以前から読んで下さっていたのですね(о´∀`о) 私もこんな素敵な先生に出会いたいなぁ…と思いながら書いていたので、そう言って頂けて嬉しいです！これからも更新を頑張るのでよろしくお願いします…！ (2018年2月9日 15時) (レス) id: 5c4ad8d179 (このIDを非表示/違反報告)
＊___ noco ___＊(プロフ) - 初めまして！こんばんは('ω')/ noco と申します(･∀･) 一昨日ぐらいに璃夢さんのことを知ったのですが、とても面白くて過去作も読みましたが面白かったです！(^^) どの作品も続きが気になりますが…焦らずゆっくりマイペースに更新頑張ってくださいね(*´ω`*)b (2018年2月4日 0時) (レス) id: 5465b9f03e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - こんばんは、そらと申します！璃夢さんの作品、久し振りに読む事が出来てとても嬉しいです(*^ ^*) 今日のお話、とても感動しました！こんな素敵な先生たちと、学生時代に出会いたかった…と思いながら読んでいます。これからも更新楽しみにしています！ (2018年2月3日 22時) (レス) id: eac6265046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃夢
| 作成日時：2018年1月28日 20時
