1*ああ、無情。 ページ1
「あとはお若いお二人で…」
私の肩をポン、と叩いて、伯母さんは、いそいそとバッグとコートを掴んだ。
ニコニコと微笑む笑顔の裏に、どんな思惑があるのか私は分からない。
…っていうか、想像するだけで怖い。
「最上級物件なんだから、上手くやるのよ」
目の前の彼には最上級の笑顔を向けたまま、私の耳元でひそひそ囁く。
ドアは無情にもバタン、と閉ざされて
後に残された私達には、気まずい沈黙だけが残った。
いわゆる、最上級フレンチレストラン、しかも個室。
綺麗に磨かれたワイングラスをじーっと見つめても、
微動だにしない赤い水面。
5分くらい経った？と思って腕時計をチラ見しても、長針の動線はたったの30秒分しか動いてない。
…
…........
あーもう無理！
沈黙に耐え切れなくて、私はついに口を開いた。
「折角ですし、食べますか…？」
「そうですね、折角ですし」
「…頂きます」
これまた美しい銀のカラトリーを手に取って、前菜を口に入れる。
…流石に美味しい、この真鯛のカルパッチョ。
「美味しいですね、これ」
目の前の彼も、同じものを頬張っていた。
薄ピンクの身の表面に散らされた、キレイな黄色の菊をぼんやり見つめながら、
なんでこんな状況になってるのか、私自身思い返してみても不思議でならない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1495人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやか(プロフ) - 初めまして。偶然貴方の作品に出会い読ませて頂きました。大好きな翔くんだけでなく、嵐のみんなが温かく描かれていてほっこりしました。他の作品も楽しみに読ませて頂きます。ファンの一人に入れて下さいな。 (2018年2月23日 3時) (
レス) id: 270e1ea97a (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - ＊___ noco ___＊さん» nokoさん、コメントありがとうございます(*´ー｀*) 過去作も読んで下さったなんて、嬉しいです！忙しさを理由に中途半端にしてしまいがちですが、頑張りますね(^^) これからも応援して頂けると嬉しいです…！ (2018年2月9日 15時) (レス) id: 5c4ad8d179 (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - そらさん» そらさん、コメントありがとうございます！以前から読んで下さっていたのですね(о´∀`о) 私もこんな素敵な先生に出会いたいなぁ…と思いながら書いていたので、そう言って頂けて嬉しいです！これからも更新を頑張るのでよろしくお願いします…！ (2018年2月9日 15時) (レス) id: 5c4ad8d179 (このIDを非表示/違反報告)
＊___ noco ___＊(プロフ) - 初めまして！こんばんは('ω')/ noco と申します(･∀･) 一昨日ぐらいに璃夢さんのことを知ったのですが、とても面白くて過去作も読みましたが面白かったです！(^^) どの作品も続きが気になりますが…焦らずゆっくりマイペースに更新頑張ってくださいね(*´ω`*)b (2018年2月4日 0時) (レス) id: 5465b9f03e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - こんばんは、そらと申します！璃夢さんの作品、久し振りに読む事が出来てとても嬉しいです(*^ ^*) 今日のお話、とても感動しました！こんな素敵な先生たちと、学生時代に出会いたかった…と思いながら読んでいます。これからも更新楽しみにしています！ (2018年2月3日 22時) (レス) id: eac6265046 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：璃夢
| 作成日時：2018年1月28日 20時
