モテたいわけじゃない。【名探偵コナン】

モテたくない女2 ページ4

今日は工藤君が幼馴染みとデートの日。


私は別の人といた。




「疲れた」

「家に帰って休んで下さい」

「やだ」




警察庁警備局警備企画課、通称公安。


そんな大それた肩書を持つ人だけど、私の前ではただの人。




「癒しが欲しい」

「猫でも犬でも飼えばいいんじゃないですか？」

「それは、無理だ。3日4日帰らないなんてざらにある」

「あー、そうでしたね」




こんなところでこんなことしてるけど、意外と忙しいこの人。


動物なんて飼えるはずないか。




「だから、Aが俺を癒せ」

「あ、ちょっと！」




後ろからガバッと抱きついて、私を逃すまいと力を込められる。




「未成年に手を出すのは犯罪ですよ」

「知ってる」

「ですよね。警察のあなたが知らないはずない」

「でも抱きしめてるだけ。手を出したわけじゃない」




屁理屈だ。


ああ言えばこう言う。




「……お前は、俺の前からいなくなるなよ」

「あなたと会うことで、私の危険度上がってません？」

「守るから、問題ない」

「問題ないなら、いなくなるなとか言わないでください」




警察学校の同期を亡くした。


私の親戚のお兄さん、彼の親友の緑川唯も。


彼の心の傷は、私では計り知れない。




「……はぁ、好きだ」

「犯罪」




それとこれとは、話が違うけど。




「好きって言っただけだ。犯罪にはならない」

「……公安が未成年に手を出して逮捕、なんて笑えないですよ」

「わかってる。お前が成人するまでちゃんと待つさ」




全然わかってない。




「……何だ、何か言いたそうだな」

「いいえ。こんなところで油売ってていいのかなって」

「どう言う意味だ？」

「仕事ちゃんとしてるのかって意味」

「してるさ。公安も、奴らも」




奴らのことは、私もそんなに詳しくない。


黒ずくめの組織ってことくらい。


それから、唯兄さんを死に追いやった組織。




「まぁ、仕事してくれてないと困るんですけどね」

「将来の夫になるから？」

「唯兄さんが報われないから」

「……大丈夫」




私を離して、頭に手を置く。




「無駄になんてしない。奴らは必ず、俺の手で……」




降谷さんが、唯兄さんを大事に思ってくれていたことは、十分過ぎるくらいわかる。


だからこそ、あまり無理をして欲しくはないんだけど。




「だから、心配するな」




きっと、この人は何を言っても無理をする。


無理をしてしまう。




「……死なないでね」

「ああ」

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