4現実自動翻訳機 ページ4
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おじいさまの家は広いから、
呼ばれてる親戚20人弱がひとつの和室で食事できる。
ごはんを食べ始めてすぐのこと。
「ごめんなさいね〜 今日涼介来られなくって。
休日出勤になっちゃったって。」
おばさまは申し訳なさそうな仮面を被ってるけど、
楽しそうなのが隠しきれてない。
忙しいんだね、の相づちを待っていたかのように、
「そうなの。なんだか大きな企画任されたらしくて。
入社3年目なのに任されちゃったから、
失敗しないか心配で。」
今日も始まった。
私ももうハタチだから分かるようになった。
つまり意訳すれば、
“若いのに、企画任されてウチの子優秀なの”
「そうだ、Aちゃんは大学どうなの?
優秀だったAちゃんにはもの足りない授業でしょう。」
訳:低い偏差値の大学は授業のレベル低いでしょ。
(昔は、優秀だったのにね。が強調されている。)
「好きなこと学べてますから、充実してますよ。」
「あら、そうなの?文学部、だっけ。
何勉強してるのか、私には分からないけれど、ふふっ。」
訳:勉強しても将来役立たないことを頑張ってるのね。笑
「涼介くんみたいに難しいことは勉強できないですから。笑」
「そんなことないじゃない。
小学生の時すごく勉強していたんだから、その気になればできるよ〜」
訳:小学生のときは、勉強できてたのにねえ、今は…(以下略)
おばさんの言う全てが自動変換されてしまう。
物心ついたときから、
おばさんの言葉は私にとって鋭いナイフだった気がする。
マウンティング取りがち、嫌味言いがち、
そのたびにニヤッと笑みを浮かべがち。
どれも呪いになる原因だと今では思っている。
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作者名:しんくれろ | 作成日時:2019年3月20日 19時