7.半端な平等は要らないの。 ページ7
「…私はね。決して頭が良い人間ではないの。だから努力した。沢山勉強した。予習だって復習だって欠かさない。」
それでも、私は貴方に敵わない。
「貴方が私と同じ努力をしたならきっと、貴方は私なんかよりもっとずっと賢くなれる。努力家は天才には敵わない」
「ちがっ…私だけが褒められたいわけではないの！私はただ、平等にみんなが褒められればって、」
「貴方が褒められるときはたった一人なのに！！！どうして私はたった一人で褒められてはいけないの！！！」
彼女は肩を跳ね上げた。ああ、私がいきなり声を荒げたからびっくりしたんだ。
ああ、違う、違う。こんな、彼女を責めたかったわけじゃなくて、私はただ、彼女を、諭して、落ち着かせたかっただけ、で。落ち着かないと、落ち着かなければ、でも、
「私達努力家は。貴方みたいな天才の前では淘汰されてしまう。とても、惨め。みんなで？平等に？なあにそれ、博愛精神のつもりなの？ふざけないでよ！！！」
言葉が、止まらない。
ぐしゃぐしゃと頭を掻き混ぜる、落ち着け落ち着けって頭の中で念じる、暗示を掛ける、こんなヒステリックは嫌だ、かっこわるい、
こんな情けない姿、先生に見せたくなかった。
「落ち着け、A。」
ふわ、と視界が真っ暗になった。草花の匂いがする。先生の声が、とても近い。
先生の体温を、私の肌に、感じる。
これ。先生の、ローブの、中？
「…天才はいつだって英雄を気取る。しかし、ミス・キャロル。貴様は先程ロングボトムがやらかしたとき、隣に居たというのに動かなかったな？早々に薬を完成させて時間を持て余していたというのに、周囲を見ることもしなかったのか。」
「……そ、れは、」
「それとも。周囲を見て気付いてはいたが──手を伸ばさなかったのかね？」
「ちが、私はそんなっ」
「ああ、いや。咎めるつもりはないのだ、ミス・キャロル。誰だって人は我が身が可愛い。それは天才も努力家も変わらん。Aのあの行動は無鉄砲に過ぎん。…ただ。その半端な覚悟で英雄を気取ることは、我輩はお勧めしませんな。」
そうでなければ、また、このように。
ボロを出す羽目になる。
地下牢内は沈黙に包まれていた。誰一人として動かない。布擦れの音すら聞こえない。呼吸音さえ、押し殺している雰囲気がした。
「授業は終了だ。次の授業に備え、移動と準備を始めては如何かね？」
一人、飛び出すように出て行った足音が聞こえた。
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HarukiTakuya070(プロフ) - 面白いです！早く続きが読みたいです！更新楽しみに待ってます。 (2018年4月18日 4時) (
レス) id: 53d7f5d75e (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ(プロフ) - 薫さん» コメントありがとうございます！話の進み自体はあまり早くないですが、ゆるりとお待ちいただければ幸いです。応援ありがとうございます！ (2018年3月24日 17時) (レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
薫 - この小説めっちゃ好きです！更新頑張ってください！応援しています！！ (2018年3月24日 16時) (レス) id: 79dca58f54 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ(プロフ) - pinoさん» コメントありがとうございます！今作のコンセプトは悪人として書かれることの多いスリザリンの“スリザリンらしからぬ一面”なので、物足りないと思われるところも出るかと思いますが、応援していただけると嬉しいです。ありがとうございます！ (2018年3月23日 23時) (レス) id: d58c85b228 (このIDを非表示/違反報告)
pino - めっちゃおもしろいです！スリザリンが好きなので、こういう作品が見れてとてもうれしいです(*'ω'*)応援しています、頑張って下さい！！ (2018年3月23日 21時) (レス) id: 7b560042ba (このIDを非表示/違反報告)
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