13.彼女の過去を抉じ開ける。 ページ13
ビューン、ヒョイ、と杖を振るって、羽根を浮遊させることに成功する。フリットウィック先生はとても嬉しそうに私とグレンジャーに点数をくれた。自分の状況を余所に目元が緩んでしまう。
フリットウィック先生が、私のおじいちゃんだったら良かったのに、なんて詮無きことを考えてしまって頭を振る。そんなことを考えてもしょうがないし、そんな考えはフリットウィック先生の失礼に当たるかもしれない。
呪文学の授業が終了し、私は教科書とノートを纏める。彼らも早々に教科書を片付け始めていて、もしかしてみんなして聞き耳を立てていたんだろうか、と苦笑した。
決して楽しい話にはならない。特に、スリザリンの彼らにとっては。
纏めた授業道具を抱え、私達は廊下を歩く。なんだか、私がみんなを先導しているようで凄い絵面だ。スリザリンじゃなくてもこんな状態はそうないと思う。ドラコとセオドールが私の両隣に並んでいて、尚更人目を引いていた。
みんなに話をしなければいけない。話したくはない、知らないままで居てほしい。そっと息を吐き、出そうとして、目の前に現れた彼女に息が詰まった。
ミス・キャロル。目元が赤く腫れていて、彼女も泣いていたことが容易に窺えた。それでも彼女は、気丈に私を真っ直ぐ見つめる。
「…ごめんなさい。私、あなたを傷つけてしまったみたいで…だけど、私そんなつもりはなかったの、あなたに、分かってほしくて──」
彼女の手が私の方に伸びてくる。私に、
フラッシュバック。記憶が脳裏に蘇る。私の頭を、掻き混ぜた。
「いやぁッ！！！」
ばちん。彼女の手をはたき落とす。彼女が目を見開いて硬直する。私が腕に抱えていた教科書がけたたましい音を立てて足元に散らばった。
呼吸が乱れる。視界がぐらぐらする。彼女の顔さえ、よく見えない。
「……どうして、どうして…私をそんなに拒絶するの…？」
か細い、掠れた声だった。
ああ、私はまた、彼女を傷つけてしまう。
「ぁ、なたが、姉に…重なる、の、」
「あね、…おねえ、さん？」
「あの人も、天才だった。」
一歩、一歩と彼女から距離をとる。
「あの人はとても綺麗だった、あの人はとても頭が良かった、あの人はとても運動が出来た、あの人は何一つ非の打ち所のない人だった、」
あの人は、両親の自慢の娘だった。両親の宝物だった、宝石だった。
どんな人だってあの人の魅力にハマった、あの人の全てが誰しものプラスになった。
14.努力家少女の“トラウマ”。→←12.言っていないこと、最後の話。
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HarukiTakuya070(プロフ) - 面白いです！早く続きが読みたいです！更新楽しみに待ってます。 (2018年4月18日 4時) (
レス) id: 53d7f5d75e (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ(プロフ) - 薫さん» コメントありがとうございます！話の進み自体はあまり早くないですが、ゆるりとお待ちいただければ幸いです。応援ありがとうございます！ (2018年3月24日 17時) (レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
薫 - この小説めっちゃ好きです！更新頑張ってください！応援しています！！ (2018年3月24日 16時) (レス) id: 79dca58f54 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ(プロフ) - pinoさん» コメントありがとうございます！今作のコンセプトは悪人として書かれることの多いスリザリンの“スリザリンらしからぬ一面”なので、物足りないと思われるところも出るかと思いますが、応援していただけると嬉しいです。ありがとうございます！ (2018年3月23日 23時) (レス) id: d58c85b228 (このIDを非表示/違反報告)
pino - めっちゃおもしろいです！スリザリンが好きなので、こういう作品が見れてとてもうれしいです(*'ω'*)応援しています、頑張って下さい！！ (2018年3月23日 21時) (レス) id: 7b560042ba (このIDを非表示/違反報告)
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