124 F ページ24
「ガヤ、オレの車で行っていい?」
「あ、うん。」
楽屋に戻るとタマがオレにしか聞こえない声でそう言った。宏光が取材のため先に楽屋を出たのを見届けオレとタマも楽屋を後にした。
「お願いします」
そう言いながら玉森の車の助手席に腰掛けた。
「あまり時間ないからお茶でいい?」
「まだガヤのマンションに行ったことないからさ、ガヤの家行きたい」
「えっ…」
予想外な玉森の言葉に動揺してしまう。
家には宏光のものが溢れている。
それに玉森が気付かないとは到底思えない。
「家は今度時間ある時にしよ。きちんと招待するからさ。今日は掃除してねぇし」
当たり障りのない言葉を並べ、家は無理だと示唆させる。
「ガヤの家が散らかってるワケないじゃん。いいじゃん。すぐ帰るしさ。それか上げれない理由が他にあるの?」
今日の玉森はやっぱり変だ。いつも空気を読んですぐにサッと引くのに、今日はすべてに粘ってくる。
「…わかったよ。ただ本当に散らかってて恥ずかしいから先に少しだけ掃除していい?」
「どうぞ」
玉森を家に上げる前に、宏光の私物を寝室やクローゼットにすべて隠そうと決めた。
こんな形で玉森自身にばれるのは不本意だ。
自分の言葉で伝えなければいけない。そしてこの事を玉森に言うのは今日じゃない。渉にバレてしまっている以上、渉に先に話すのが筋だと思うから。
渉にタマに言ってもいいと納得してもらってからの方がいいし。宏光にも話しておきたい。
「ちょっと待ってて」
伝えた住所の場所につき、目の前には自宅マンション。近くのコインパーキングに停めてもらい、一旦タマを車に残したまま先にマンションに入り、玄関に置いてある宏光の靴、ギターや雑誌、ゲームやアクセサリー、上着など宏光の私物を全て寝室のクローゼットにしまう。
他に宏光の影が見えるものはないか隅々まで部屋を見渡した。 一通り見渡し、大丈夫だろうと思いタマを呼びに行き部屋に上げる。
「お邪魔します。なに、部屋、全然綺麗じゃん」
「急いで掃除したからさ」
「ふーん、この部屋って他のメンバー来たことある?」
「…ないよ?」
「ミツも?」
「へ…?来て、ないけど。」
「ミツの面影がこんなにもあるのに?」
・・・え?
・・・なんで?
隠したはずなのに。何も宏光のモノなんて。玉森はリビングの真ん中に立ち部屋を見渡しながら、悲しそうに笑った。
「ガヤ、ミツの面影全然隠せてないよ。」
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もも(プロフ) - スケベ面さん» スケベ面さん はじめまして!お話読んでくださりありがとうございます!中編が見えないのですね<(_ _)>すみません、フラグを立てていますので年齢の関係かと思われます。大変大変申し訳ございません(><) (2018年7月11日 6時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
スケベ面(プロフ) - 前編を読ませていただきましたっ切なくて続きが見たいのですが作者様の全作品を見させていただいたのですが前編後編しかありません(><) (2018年7月10日 8時) (レス) id: 909d98024f (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ふじみつさん» ふじみつさん 終わってしまいました(´・・`)本当にご覧頂きありがとうございます!ハラハラさせてすみません<(_ _)>疲れますよね!笑 こちらこそ幸せを感じて頂けて光栄です。本当にありがとうございました! (2018年6月3日 1時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - あ〜〜終わってしまいました。ずっと切なくてハラハラして。。藤北玉の3人の純情が苦しくて幸せを祈りながら読んでおりました。2人が幸せになれて本当に良かったです!こちらまで幸せになれました。ありがとうございました。次のお話しも楽しみにしております! (2018年6月2日 23時) (レス) id: c46653f4f4 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ぶぃ〜さん» ぶぃ〜さん 久しぶりにリアルな二人をご覧頂いたんですね!恐縮です。ありがとうございます!お話に入り込んで頂けたなんて嬉しいです(/ω\)本当にこちらこそありがとうございました! (2018年6月2日 20時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2018年5月27日 14時