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Aside






「ほらここ」


彼が連れてきてくれたのは、海が見える灯台。




着いた頃には日も傾いて、

昼間の真っ青な海は綺麗な橙色へと染められる。




.




A「キレイ…。よく知ってたね、ここ」


「小学校の頃に見つけた隠れスポット。嫌なこととかうまくいかないことがあったらいつもここに来てる」


A「でも…なんでここに連れて来てくれたの?」


「なんでって…なんとなく?水越さんと一緒に見たいなあって思ったから」


A「…変なの」


「変じゃないって」




そう言って笑うと彼の白い歯が見えた。





「ねえ、水越さん」


A「ん?」



私は雄大で美しい景色に見惚れて、彼の呼びかけにうわの空で答える。




「下の名前で…呼んでいい?」


そう言われて、すぐに彼の方へと振り返る。




A「どうして急に…?」

「なんか理由ばっかり聞くね」


A「なんて言ったらいいかわからないから…
その…なんだかごめんなさい」


「謝らないでよ。…オレね、ずっとAのこと見てたよ。みんな結構はしゃいでる中でも、つまらなそうにしているわけでも、合わせてるわけでもなくて、自分らしくいるAのこと、気になってた」





夕日は海だけじゃなく、彼の瞳も頰も染める。



そして私の満たされなかった心も、綺麗な色へと染める。





.





「オレも名前で呼ぶから、Aもオレのこと、名前で呼んで」







その日から、私は心の中でも、彼を見つけても、
何度も彼の名前を呼んだ。



今だって時々彼の名前を呼んでいる。






.




勇太。


もう一度会って謝らせてほしい。

私はあなたのことが大好きだった。



だからせめてもう一度だけ会いたい。



.

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ジェンガ(プロフ) - 岩瀬紫耀さん» ありがとうございます!気づくのが大変遅くなりごめんなさい…なるべく早く次の話をあげられるように頑張ります! (2018年7月29日 14時) (レス) id: 3ce0492d1e (このIDを非表示/違反報告)
岩瀬紫耀(プロフ) - この作品すきです! 続きがきになります がんばってください (2018年4月26日 6時) (レス) id: bb863aa5bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ジェンガ | 作成日時:2017年11月11日 22時

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