【V4L0】この世界の楽しみ方。

#1 序章 ページ1

「………もっと上手くできるだろう！！」

「どうして言うことを聞けない」

「もっと出力を上げるぞ…」




「成功だ！！！！」

「君たちは完成品なのだから」

　

「将来、ここに戻ってこい
そしてまた、最強のチームを作るんだ」


ゲーム

それは娯楽から広がり、今や数えきれない人が魅了され、そして人生をかけている人もいる。

そして私の周りには、ゲームに人生をかけている人がたくさんいる。


「A、俺はCRに移籍しようと思う」

『え、あ…そうなんだ』


当時、同世代でかなり活躍していたプロゲーマーnethの決断。

彼の心の裏には、ライバルたちに対する焦りと不安と、挑戦と希望が私には見えた。


「お前も誘われてるらしいやん」

『それも知ってるの…』

私はそれまで沢山のゲームタイトルに触れてきた。

しかし全てにおいてプロチームには属してこなかった。


今回もいつもと同様、断ろうとしていた。


「一緒にやらん？」

『え、…？』


ぶっきらぼうな落ち着いた声で言うneth。

そんな声が、私を揺らがせる。


「俺は、お前も世界を目指してみたらいいと思うけど」

そんな言葉が、私を迷わせる。


『私がチームのためになるのなら』


私が出した答えは実に曖昧だった。

これは周りも、自らも苦しめる答えとなった。


「世界獲ろう」

『そうだね』


あの時、私は何を考えていたんだろう。


何を感じていたんだろう。


期待、希望、罪悪感、焦燥感……？


いや、きっと、


　

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