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SugarZ3ro side
ブラジルで開催されたKick of Tournament。
今大会で最も謎多き中国チームTECとの初戦だった。
第1マップを惜しくも落としたけど、Aさんのラークをきちんと押さえ込むことができた。
ZETAの中では芸者の正体はもうAさんと確信されていた。
スクリムでは後方に回ってサポートしかしなかったAさん。
でもあんなエイムの強い人が味方のサポートのみで終わらせるはずがない。
CRで随分手を焼いたラークや変なところでの詰め。
TECの隠し球は絶対に「Aのプッシュ」であることは一目瞭然だった。
それは俺たち日本のチームで、Aが良きライバルCRのメンバーだったからわかることだ。
「芸者の変化球には対応できた。これでほとんどTECの手の内は明かされてる」
「撃ち合いなら絶対負けないから、とにかく競技経験者の芸者を止めよう」
そんな話を休憩をしながら緊迫感の中でしていると、控え室の外がなんだか騒がしい。
「なんかあったのかな」
そうLazさんが言うと同タイミングでXQQコーチが扉を開けて外を見た。
「+jan*4jxka!!,!」
「@)+/2:nsbd(a」
全く言語はわからないが、異常事態が起こっていることはわかった。
廊下をスタッフが全力疾走しているのだ。
「え〜なんだろ」
「トラブルかな」
よくわからない、ときゅーさんが扉を閉める。
でもしまった扉の向こうではバタバタと慌ただしい音がしていた。
ただでさえ追い詰められている俺たちの心臓に悪い
そんなことを思いながらもフィードバックをして自分のプレイを修正してると
スタッフの人が慌てた雰囲気で駆け込んできた。
「申し訳ありません。TECの選手の1人が倒れてしまったのでインターバル延長になるかもしれません…」
と、言われた時、
空いた扉から見える廊下では担架で運ばれる人が見えた。
異常なほどに色の白くて細い腕。
綺麗な黒髪。
「……!!」
全員が息を呑んだ。
俺はスタッフを押し退けて扉から飛び出す。
「Aさん!!!」
「やめろシュガー!!そんなことしても意味ない!」
何も考えずに追いかけようとした俺をてんたが止めた。
「……ごめん」
「いや、俺も、なんか強すぎたわ」
俺はAさんが運ばれた方を見つめる。
「ホント、謎が多いよAは」
Lazさんもそう呟く。
あの人は俺たちとは違う世界にいるのかもしれない。
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mobutyan(プロフ) - 久しぶりにこんなにも感動する小説を読みました。忙しいかとは思いますが更新ずっと待ってます。 (8月17日 3時) (レス) @page34 id: 97fa38bdce (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白くて定期的に読み返しています。続きを楽しみにしています! (2023年3月8日 23時) (レス) @page32 id: 87831ffb52 (このIDを非表示/違反報告)
ayuriayuri112(プロフ) - 続き待ってます!応援してます! (2023年1月11日 5時) (レス) id: 598e63f5be (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - 続き楽しみです!! (2022年12月30日 23時) (レス) @page25 id: d6d10578eb (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 続きが楽しみです!!応援してます! (2022年12月28日 12時) (レス) id: 5a62b2ac70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:baihua | 作成日時:2022年10月22日 22時