お休みの日/3 ページ9
カフェで注文の品が届き、3人でもぐもぐやっていると、一つ、耳に届いた言葉があった。
「あの人、モデルのるかさんじゃない?」
兎のような大きな耳に、もふもふの手足を持った女性がそう言った。すると、向かいの髪の毛が薔薇のつるになっている女性も便乗する。
「えー?でもるかさんって、人じゃなくて人魚でしょ?よく似た人だってぇ。」
「でもマジやばいほんとに似てる。色白いし顔ちっちゃーい」
るかにもそれは聞こえているようで、少しはずかしそうに顔を俯かせた。
「ねぇ、どっちが彼氏かなー?」
「わっかんなぁい。あのネコ耳の方じゃない?さっきすっごい顔近づけてたよー」
「てかこれほんとにるかさんだったら、それ大スキャンダルじゃね?やばくない?」
ぴく、とるかの手が一瞬止まった。
「これ呟いちゃお?絶対ふぁぼりつ止まんないから!」
「あーめっちゃいい。アタシも拡散手伝う〜」
なぁこれやばくないか?
照じいは若者言葉についていけていない様子で、悩みながらぱくぱくケーキを口に運んでいる。美味しそうに食べてっけど。
止めようか悩んでいると、ついにスマホのシャッター音がした。
そして、るかは席を立った。
「あの、お嬢さんお二人さん?」
「えっ!?あ、はい!」
「なんですかぁ?」
るかの顔は見えないが、声だけは穏やかに聞こえた。しかし、女の子達はどんどん顔をひきつらせていく。
「先ほど、うちのお写真撮られたようどすけど、勝手に知らんお人のことを撮影しはるなんて、どないなお考えで?」
「え、えぇっとぉ……」
女の子達はもう今にも泣き出しそうだ。ふるふると震えて、怯えている。
「無許可で人の事を撮影して、それをネットに載せるなんて言語道断。立派な犯罪どす。
ポイント削られて地獄行きになってもしょうがないことどすなぁ。
ね、お二人さん?お写真、消して頂けます?」
「は、はひぃぃいい……」
2人はもうその場で速攻写真を消していた。そのままケーキを残して帰ろうとすると再びるかがとっ捕まえて、仏さんに怒られますえ、と言うとケーキをもそもそ口に運びはじめた。
「……すごいね、るか」
「ありがとうございます。でも、これは普通のことどす。それに、うち1つ失敗してしもて。」
どこがだろう。流石に怒りすぎたとかそのへんだろうか。
「仏さんって。うちらが仏さんやもんなぁ。」
そう言って、また優しく笑うのだ。
……つくづく女の子というのは怖いもんだ。
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作者名:ももっぴぃ2号機 | 作成日時:2016年11月6日 23時