フラグ86 ページ47
カレーの素晴らしいところは、その包容力で何でもカレーにしてくれるところだとAは思う。
例えばシーフード、例えば夏野菜。刺激が心地よい激辛カレーもあれば、みんなが食べられる甘口カレーもある。
そして、例えば、切るのに失敗したボコボコの野菜でも。例えば、焦げてしまった豚肉でも。
カレーは、受け止めてくれるのだ。
「うん......これは流石に......」
まずいかな、Aは鍋を見つめる。
今日は父の帰りが遅いため、Aが夕ごはんを 作っている。
いつもは父が作り置きを用意してくれるのだが、なにか手助けしたいと思ったAがこれを提案したのだ。
「本当に大丈夫なのか」
「大丈夫だよ！お菓子作り得意だし！」
「そう言って前も大失敗しなかったか......？」
「う......あ、あの時はまだ小さかったから、今ならできる！お菓子作りで鍛えた腕前をとくとご覧あれ！だよ！」
啖呵を切ったはいいものの、この有り様である。
他の人がどうかは分からない。
だが少なくともAにとって、お菓子作りと普通の料理は全く異質なものだった。
なんとかカレーの見た目をした食べ物を作ることはできたが、その中にあるのは不揃いな野菜と、炭化しかけた豚肉と、入れすぎた隠し味の味噌。
「はあ......」
食べられないことはない。
カレーの包容力で、この料理はなんとかカレーとして成立している。
しかしいつも父が作るようなカレーには及ばない。
まして、母が作ってくれたカレーには到底手が届かない。
カレーはいつもどおりの良い香りを上げている。
優しいな、そう思って、Aは鍋に蓋をした。
時計を見ると、ちょうど探偵社に向かう時間だった。
今日は何やら大事な会議があるらしく、それが終わるくらいの時間に来てほしい、とのことだった。
ほの暗い空。
帰って来る頃にはすっかり日が落ちているだろう。
早く帰って、カレーを食べよう。
Aは家を出た。
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花岳(プロフ) - チョコレヰトさん» ひゃーー！お褒め頂き光栄です......！ありがとうございます。相変わらずだらだら更新していくと思いますが必ずや完結させてみせますので！応援よろしくお願いします！ (2019年2月11日 11時) (
レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヰト - おおお…面白いですね！ギャグ一直線って言うわけでもなく、かと言って重すぎるシリアスも無く…！！丁度良くて、見つけて一気読みしてしまいました…w応援してます！更新頑張ってください！いつまででも待ってます！ (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf0bfde55 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 結愛さん» 素敵なほのぼの文芸部だったんですね...こちらはガチガチ文芸部です...〆切前は常に修羅場で、よく悲鳴があがってます。それはそれで楽しいんですけどね！他校の部活の様子を聞けて嬉しいです！コメントありがとうございました！！ (2018年9月19日 1時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 私も文芸部だったのですが、私の居た文芸部とは違うのですね…。(私の居た文芸部では皆好きなようにお絵描きしてました) (2018年9月17日 13時) (レス) id: 4e4bc357c1 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 紅夏さん» ありがとうございます！！！！もう、ほんとにありがとうございます。待ってる、と言って頂けるだけで頑張れます。絶対書き上げますので、待ってて下さい！、 (2018年9月17日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花岳 | 作成日時：2018年1月10日 23時
