暗い過去？無い無い。チートな異能力？無い無い。これはただの体質...のはず...ってか来んな！その２！

フラグ66 ページ27

『何となくそんな気はしてました』


レジの下、体育座りで小さくなるAがぼそっと呟く。


「こればっかりはどうしようもないねえ」


太宰も心底つまらなそうに欠伸をした。


電話を切ってから、二人はずっとここにいた。
移動もせず、話し合いもせず。

やる気が無くなったのではない。
純粋にやることが無いのだ。


『やっぱりこう...華麗な救出劇！とはいかないんですね』




ここには異能者が二人もいるがどちらも戦闘向きではない。武術に秀でている訳でもない。

敵は銃やバールを持ち、どこからでも私達を狙えるし何より数が多い。完全な撃破は出来ない。

爆弾は園内ではなく上空のヘリコプターに積まれているらしく、爆弾解除も出来ない。




―――最優先事項は人質の解放。
―――軍警が交渉中だ。くれぐれも余計な真似はするな。

―――大体貴様らが出た所でどうにかなる規模ではない。




と国木田にも念を押され、こうして大人しくしている。



「背中痛くなってきた」

体を伸ばそうにも場所がない。
太宰は恨めしそうにレジの天板を睨む。

「Aちゃん、なんか面白いこと言って」
『急に言われても困ります』

「じゃあ10秒後にどうぞ。321ハイ」
『言ってることとやってることが滅茶苦茶ですが！？』


それでも何か良い返答が出来ないかと思考を巡らせる。
面白いこと、面白いこと.........

その時太宰の耳に異変が届いた。
何だ。ヘリ？人の声が増えている？
意識を集中させて、原因を探る。



『あ、そう言えばこの前、父がですね......』

Aが話し出したのと同時に

「何だ！？」
「うわあああああああああああ」


外が騒がしくなった。




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