暗い過去？無い無い。チートな異能力？無い無い。これはただの体質...のはず...ってか来んな！その２！

フラグ64 ページ25

―――どこをほっつき歩いている太宰！！

『国木田さん！しーっ！静かにお願いします！』


場所を移して、二人は探偵社に連絡をしていた。
そこは園内ショップのレジの下。
この辺りは人が移動し終わったようで嘘みたいに静かだ。



ほんの数分前、太宰とAはここに潜り込んだ。

「今からいう番号に電話してくれたまえ」
『太宰さん携帯電話持ってないんですか？』

「私がかけたら国木田君の怒号が飛んでくるから駄目」
『そんなことで見つかったら貴方を恨みます』

「出来れば国木田君を恨んでほしいのだけど」


という訳でAは言われた通り自分の携帯電話に間違いなく電話番号を打ち込んだ。


筈だったのだが。



『開口一番怒られましたよ！？』
「国木田君はいつの間に透視能力を身に付けたのだろうか」

透視できるなんて羨ましいこと限りない、なんて呟いている太宰を小突きながら情報を伝える。


太宰とAが共に遊園地にいること。
そこを武装集団に包囲されていること。
自分達は逃げおおせたが状況が把握出来ていないこと。

彼女自身が驚くくらい的確に言葉を発することが出来た。



電話の向こうの国木田は全て聞き終えて、大きくため息を吐いた。



―――今は...重要な事だけを伝える。


他にも言いたい事が山ほどあるという事実ぐらい、Aも読み取れた。


―――探偵社は脅迫を受けている。

―――人質は貴様らがいる遊園地、横浜スペースワールド。

―――要求を呑まなければその全土が爆破される。

―――彼等の要求は



一旦、声が切れる。
緊迫感が募る。

声の主は意を決したように、きっぱりと告げた。






―――彼等の要求は小花衣A、貴様の身柄だ。







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