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フラグ63 ページ24

「降りろ」


襤褸の男が観覧車から客を引きずり出す。


「た、頼む、いの、命だけはぁっ」

「お前の行動次第だ」


園内の係員や客はいくつかの集団に纏められ、それぞれに二人ずつ見張りがついている。

入口はより強固に監視がおり、逃亡はおろか侵入も許さない。


「降りろ」

「神様どうかお守りください神様どうか神様どうか」

「早く行け!」

「ひいッ」


次だ。
襤褸の男が視線を動かした時。



「ごふっ!?」


「しーっ。駄目だよ騒いじゃ」


みぞおちに一撃。男は簡単に崩れた。


『他のお客さんどうするんですか』
「彼等次第さ」


鬼め、口だけを動かした少女と、関節を鳴らす男。

Aと太宰が現場に降り立った。


幸い異変に気づく者なし。
二人は姿勢を低くし物陰に潜んだ。


「随分大所帯だねえ」

『これじゃあ軍警も入れませんね』



監視の装備はまちまちだが、物騒な武器、上半身と頭部を覆う襤褸は共通だ。

「ひとまず状況確認が必要だね。
一度移動して外部と連絡を取ってみよう」


Aはポケットの携帯を握り締めて頷いた。

そっと頭を出して辺りを窺う。
周囲は殺気剥き出しの男でいっぱいだ。

普通に見れば、移動すらままならない。

あくまで、凡人の目では。


太宰は長年の経験と勘、嫌がらせセンスを総動員して行動の候補を瞬時に組み立てる。

監視のルート、視線、人数、散らばり。
目的地、経路、石ころ、ボタン、空き瓶―――――これだ。


落ちていた空き瓶に、小さな石や落とし物のボタン等その口を通る物を無差別に入れていく。

『頭おかしくなりましたか』
「まあまあ、見ていたまえ」


太宰の力強い投擲。弧を描く瓶はやがて下降し音を立てて割れる。張り詰めた空気に亀裂が走る。

「何の音だ!」


注意の目が一ヶ所に集中したその一瞬。


「行くよ」

飛び出した二人の人影。
それを咎める者は誰一人いない。


.

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花岳(プロフ) - チョコレヰトさん» ひゃーー!お褒め頂き光栄です......!ありがとうございます。相変わらずだらだら更新していくと思いますが必ずや完結させてみせますので!応援よろしくお願いします! (2019年2月11日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヰト - おおお…面白いですね!ギャグ一直線って言うわけでもなく、かと言って重すぎるシリアスも無く…!!丁度良くて、見つけて一気読みしてしまいました…w応援してます!更新頑張ってください!いつまででも待ってます! (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf0bfde55 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 結愛さん» 素敵なほのぼの文芸部だったんですね...こちらはガチガチ文芸部です...〆切前は常に修羅場で、よく悲鳴があがってます。それはそれで楽しいんですけどね!他校の部活の様子を聞けて嬉しいです!コメントありがとうございました!! (2018年9月19日 1時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 私も文芸部だったのですが、私の居た文芸部とは違うのですね…。(私の居た文芸部では皆好きなようにお絵描きしてました) (2018年9月17日 13時) (レス) id: 4e4bc357c1 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 紅夏さん» ありがとうございます!!!!もう、ほんとにありがとうございます。待ってる、と言って頂けるだけで頑張れます。絶対書き上げますので、待ってて下さい!、 (2018年9月17日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花岳 | 作成日時:2018年1月10日 23時

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