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フラグ61 ページ22

「おおー」

海。ビル。人。

眼下に広がるいつもの横浜は、視点を高くするだけでこうも見え方が変わるものなのか。

私も純粋に感動したいのだが。


『太宰さん?』
「なんだい」

『こういうのって普通向かい合わせに座りません?
なんで観覧車の中まで手を繋がなきゃないんですかね!』

当の本人はきょとんとして、それから静かに笑った。


「遊ぶ時くらい、普通の女の子でいて欲しいじゃないか」

『え......』


思いのほか答えがまともで面食らった。
多分今、変な顔をしていると思う。


「びっくりし過ぎだよ」

脳の処理と表情が追い付いてない、そう言ってまた笑った。
そういう指摘は速いんだよな、この人は。


地上を眺めるにはあまりに遠くなって、代わりに空が広がってくる。

賑やかな喧騒も聞こえない。
あるのは低い稼働音だけ。


『そうは言っても、こんなところで何も起きないと思いますけどね』

冗談混じりにこぼす。

だってゆっくりと回る観覧車がそう言っている。
今日も平和なのだと。

ぐおんぐおん、ぐおんぐおん。
静かに、確かに、急がず、焦らず、上昇を続けていく観覧車。なんだかとても心が安らいでいた。


私たちの乗る箱が一番高くなる。
地上から一番遠くなって、空に一番近くなる。

その時。


「............!」


太宰さんがきっ、と表情を固くした。

一瞬で空気が非日常で張り詰める。


「Aちゃん、絶対に手を離しちゃいけない」

離せば君の異能が君を見逃さない。


私も窓の景色を覗く。


『.........っ!』


思わず息を呑む。

目の下、足元に広がるパーク内に



『何、あれ......』



襤褸を纏う集団が現れた。




.

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花岳(プロフ) - チョコレヰトさん» ひゃーー!お褒め頂き光栄です......!ありがとうございます。相変わらずだらだら更新していくと思いますが必ずや完結させてみせますので!応援よろしくお願いします! (2019年2月11日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヰト - おおお…面白いですね!ギャグ一直線って言うわけでもなく、かと言って重すぎるシリアスも無く…!!丁度良くて、見つけて一気読みしてしまいました…w応援してます!更新頑張ってください!いつまででも待ってます! (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf0bfde55 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 結愛さん» 素敵なほのぼの文芸部だったんですね...こちらはガチガチ文芸部です...〆切前は常に修羅場で、よく悲鳴があがってます。それはそれで楽しいんですけどね!他校の部活の様子を聞けて嬉しいです!コメントありがとうございました!! (2018年9月19日 1時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 私も文芸部だったのですが、私の居た文芸部とは違うのですね…。(私の居た文芸部では皆好きなようにお絵描きしてました) (2018年9月17日 13時) (レス) id: 4e4bc357c1 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 紅夏さん» ありがとうございます!!!!もう、ほんとにありがとうございます。待ってる、と言って頂けるだけで頑張れます。絶対書き上げますので、待ってて下さい!、 (2018年9月17日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花岳 | 作成日時:2018年1月10日 23時

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