フラグ56 ページ17
『つまり...』
人の視線に刺されながら通りを進む。
こんな昼間から手を繋いで歩いている少し歳の離れた男女。興味が尽きないのは分かるが、じろじろ見られると落ち着かない。
『異能力は実在していて、なんと私もそれを持っている。なおかつ私の力は都市伝説のようなものとして語り継がれている...ってことですか』
「そういうこと。理解が早くて助かるよ」
いや、全く理解などしていない。
今のは太宰さんの話を反芻しただけだ。
異能力が実在すること。
そして異能の者も少数ながら存在すること。
世間を震撼させた事件や抗争の中には、異能が関わっているものがあること。
政府が異能を管理、隠蔽、時に利用していること。
そして、もう知らない頃には戻れないということも。
どれも分かりやすく丁寧に教えてくれた。
なんだこの展開。
ベタ過ぎて逆に新鮮だ。
「そして君の力は規格外。事象そのものを操作する奇跡の具現。"幸せを呼ぶ異能者"。
今まで普通に生きてきたのが不思議なくらいだ」
それも異能の作用なのかな、と私を見下ろした。
ぱちっと目が合う。私は慌てて前を向いた。
動揺を悟られないようなるべく無愛想に聞く。
『で、太宰さん?』
「ん?」
『さっきから何処に向かってるんですか?』
性格に難ありといえど太宰さんが眉目秀麗なのは間違いない。
無関心でも目が合えばなんとなく気恥ずかしいのだ。
私も一応、花も恥じらう女子高校生だ。
人でなし予備軍さんとそんな関係になるなんてこっちから願い下げだけど。
『太宰さん聞いてます?』
ぐいぐいと握った手を引っ張る。
「観覧車」
『はい?』
立ち止まる。
一呼吸おいて、告げられる。
「異能を知り、私達の世界を知った君にちょっとした餞別さ。
いいから大人しくついて来たまえ!」
『説明になってません!』
ああ、この人達といると刺激に鈍感になるな。
そろそろ慣れてきた展開に、私は身を任せた。
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花岳(プロフ) - チョコレヰトさん» ひゃーー!お褒め頂き光栄です......!ありがとうございます。相変わらずだらだら更新していくと思いますが必ずや完結させてみせますので!応援よろしくお願いします! (2019年2月11日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヰト - おおお…面白いですね!ギャグ一直線って言うわけでもなく、かと言って重すぎるシリアスも無く…!!丁度良くて、見つけて一気読みしてしまいました…w応援してます!更新頑張ってください!いつまででも待ってます! (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf0bfde55 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 結愛さん» 素敵なほのぼの文芸部だったんですね...こちらはガチガチ文芸部です...〆切前は常に修羅場で、よく悲鳴があがってます。それはそれで楽しいんですけどね!他校の部活の様子を聞けて嬉しいです!コメントありがとうございました!! (2018年9月19日 1時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 私も文芸部だったのですが、私の居た文芸部とは違うのですね…。(私の居た文芸部では皆好きなようにお絵描きしてました) (2018年9月17日 13時) (レス) id: 4e4bc357c1 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 紅夏さん» ありがとうございます!!!!もう、ほんとにありがとうございます。待ってる、と言って頂けるだけで頑張れます。絶対書き上げますので、待ってて下さい!、 (2018年9月17日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花岳 | 作成日時:2018年1月10日 23時