攘夷浪士の紅一点：零【銀魂】 (ページ5)

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松陽「ありがとう、私のことを想ってくれたんですね」

「…銀ちゃん、ああなったら止められんもん」

松陽「ははっ、Aは本当に銀時のことをよく分かっていますね」

ムニッと、少し痛い程度に摘まれた頬。

数十分に渡る奮闘の末、ギリギリ勝ったのはうちやった。

松陽「ですが、Aの力を安売りすることはもうしてはいけません、いいですね？」

「…そこまで本気出してないで」

松陽「おや、本当ですか…？」

「………」

嘘。

押されて押されて、負けると思った。

正直、今まで相手してきた中で、1番強かった。

黙り込んだうちに、先生はふふっと笑う。

「松陽せんせ、」

松陽「なんですか」

新しい擦り傷のできたうちの頬に処置をしながら、先生は優しい顔でうちを見つめる。

「銀ちゃんなんかうちと似てる気がするねん」

松陽「…銀時が？」

「うん、でも、似てない気もする」

変なことを言うてるんは自分でも分かっとる。

ただ、うちが知ってる言葉で表すにはこれしかなかった。

やり合ってる時に感じた竹刀の振りかざし方、回り込み方は全て戦場で人を殺す時の動き。

何よりも、時たま見える空虚な瞳がうちと似てる気がした。

でも、すぐに、うちとは違うなって思った。

「銀ちゃんの目、なんかキラキラしとった」

松陽「キラキラ…？それは一体どういう」

「なんか、うちとやってるのに、先生とやって一本獲ったる、っていうのを見据えた上でやられてる気がした」

松陽「……」

「きっと銀ちゃんは先生を倒すっていう目標があって頑張れてるんやろうなって」

「人殺しの目付き」

「鬼の目」

今までうちが掛けられてきた言葉。

うるさい自分でも分かっとるわ、って思いながら人殺して、光の無くなるそいつらの目見て、「ああ、うちの目もこんな感じかな」ってしんどくなって。

「うちは、暗い目しか見たこと無かったけど、

あんな明るいもん初めて見てん」

松陽「……」

「やから一本獲ったんはうちやけど、うちも銀ちゃんに一本獲られた気がした、別のもんで」

何も言わん先生の顔を見上げれば、いつも通り、優しい顔で笑ってた。

でもいつもより嬉しそうで、うちはそれがなんでか分からんくて。

「せんせ…？」

松陽「君は本当に素直で優しい子だね、」