お布団ぬくぬく編 ページ2
.
A「銀ちゃん、なぁ、起きてる?」
銀時「寝た」
A「起きてるやん」
寺子屋の中にある一室。
時刻は夜遅く、小さな声が部屋に響く。
A「なぁ、銀ちゃん」
銀時「………」
A「え、寝たん…?なぁ、起きてや…」
返ってこなくなった返事に、Aは被っていた布団を捲り、隣で丸まった布団を軽く引っ張った。
A「なぁ、銀ちゃん、」
銀時「…………」
A「銀ちゃ…」
銀時「ッダァアアア!!なんっだよお前!!寝たつっただろ!」
微妙に眠りの妨げになっていたのに我慢ならず、銀時はガバッと起き上がった。
が、目の前にいるAの顔を見てハッとした。
銀時「んで泣きそうなんだよ…」
A「…寝れんくて、なんか気持ち悪い」
銀時「はァ…体しんでぇの?どっか痛いか?」
A「…ううん、なんかやな気分やねん、」
Aと出会い、共に過ごすようになってからこういう事は既に何回もあった。
出会った当初は、なんだこいつと銀時自身思っていたが、松陽が彼女にかける言葉や、光のない瞳を向けられることが増えると、「こいつも…か」と自分で納得するようになった。
銀時「布団引っつけるか?」
A「うん…ありがとう」
銀時「へいへい」
サッと布団が隙間なく並べられ、再度眠りにつこうとした銀時だったが、
引っつけても尚、隣でゴロゴロと寝返りを打つ彼女が気になって仕方なかった。
銀時「A」
向けられた背中に向かって名を呼べば、ビクリと揺れた肩。
なんでびびンだよ…とため息を吐くと、ごめん、と謝る声が聞こえた。
A「寝れんくて…」
振り返った彼女は申し訳なさそうにシュンとし、鼻まで布団を引き上げる。
銀時「…………」
本当は、彼女の言いたいことは分かってる。
布団が隣なだけじゃほとんどさっきと変わらない。
ただ、自分から言うのも癪であるし、なぜこんな時に強がるんだと銀時は思った。
銀時「はァ…あー…なんか布団中々あったまらねぇ」
A「……?」
銀時「入れよ、お前子供体温だし」
思春期入りかけの銀時にはこれが精一杯だった。
嬉しそうな顔をした目の前の彼女を見て、なんだか恥ずかしくなり顔を赤くした。
A「銀ちゃんかて子供やん」
銀時「うるせ」
72人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わらび | 作成日時:2021年9月2日 22時