Chapter one ページ4
話によれば、昨日から新学期は始まっているらしく、パーバティは十一歳の一年生だそうだ。同い年と言う偶然。もしかしたら、自分には今、幸福の神様がついているのかもしれない。それくらい幸せが続いていた。
「アンの瞳、珍しいのね。オッドアイって言ったかしら」
「うん＿＿やっぱり目立つかなぁ」
少し目尻を下げ、こめかみを軽く掻く。パーバティは「うーん、そうね」と否定できない辛さというのを露にした。それはそうだ。オッドアイなんて、自分も生で見たことはなかった。ていうか、一応病気だし。本当は黒目だし。アンナは苦い顔をした。
「ただでさえ遅れて来たから目立つのに、こんな目とか髪だったら＿＿考えたくもない」
先程までは美少女になって有頂天だったのに、今となれば考えれば考えるほど悪い方に駒は進んでいく。自分の髪を瞳の前に持ってくる。炎の光で髪が反射し、仄かな赤が滑らかに滑る。
アンナが威嚇する犬のような唸り声をあげた。
「でもあたしはアンの容姿、好きよ。幻想的な感じで、とっても綺麗。最初見たとき、思わず吐息が出てしまったもの」
「えー、嘘だあ」
盛りすぎではないか。確かに初めて見たときは、言葉を失ってしまったけど、偏見がある今、アンナにとっては気味が悪い色でしかなかった。パーバティは笑う。
「本当。けれどその髪型だったら台無し」
ちょっとこっち来て、とパーバティは端の方に歩いてから小さく手招きをした。言われるがまま、彼女の側に立つ。パーバティは鞄に入っていたらしい小さなブラシで、アンナの髪をときはじめた。慌てて逃げ出そうとするアンナの首もとをがっしり掴み、放さない。キュートなガールにこれだけの力があるのか。目を丸くするアンナをよそにパーバティは何処からか取り出したバンダナのようなリボンのようなもので(おしゃれに鈍いアンナには分からない)、カチューシャのようにアンナの頭をぐっと結ぶ。真珠色に漆黒が映える。
「あのー、ベティ、これは＿＿？」
「応急処置よ」
満足げに頷くパーバティをあっけらかんと見つめるアンナ。どうかした？とパーバティが尋ねれば、アンナはくわっと目を見開き「わたしには似合わないっ！」と小さく叫ぶ。彼女は良いからと宥めながら、歩いていく。慌ててパーバティに並んだ。
続く
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砂都 - RiO さん» 初コメント、有りがたいです！ 慣れない小説で、至らない所もございますでしょうが、気に入って下さったのなら嬉しいです。応援宜しくお願いします (2016年8月24日 13時) (
レス) id: 4530efbbff (このIDを非表示/違反報告)
RiO - 更新応援させていただきます！ (2016年8月24日 12時) (レス) id: ea97666007 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：砂都 | 作成日時：2016年8月24日 11時
