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よし、終わった!!
結局、少し前に北山さんは帰ったから、一人ぼっちになった。
デスクの上に置きっぱなしのコーヒーカップを片付けて
静まり返ってる社内を足早に出る。
人がほとんどいなくなったフロアは
ところどころ明かりがついているとはいえ
なんとなく寂しくて、そして冷たい。
まだ、夜の風が冷たい季節
駅までの道のりも、この時間になると寒くて小さくなるくらいだもの。
エレベーターに乗りながら
ストールを巻きつけて、コートのボタンを閉める。
手袋…
手袋どこだったかな…
カバンの中をごそごそしてるうちに
あっという間に1階に着いちゃって
結局手袋をしないまま
コートの袖そちょっとだけ引っ張って手を隠す。
警備員さんに
「おつかれさまです。」
って、頭を下げて自動ドアを抜ける。
「寒い…」
思わず漏れた小さな声
「Aちゃん。」
名前を呼ばれてふっと顔をあげたら
目の前には、さっきまでいた彼の姿。
「外めっちゃ寒いんだけど!!」
高級そうな真っ白な車
その隣に立つ、黒のロングコート姿の彼
なんだか、やたら似合ってる。
かっこいい…
もう認めるしかないよね
彼に胸をきゅっと鳴らされてるんだもん。
「寒いし、遅いし。送るから。」
「待っててくれたんですか?」
「送るって言ったもん。
男に二言はないからね?」
そう言って、ふわっと笑う優しい笑顔
駐車場から車を出して、エンジンをかけて暖めておいてくれたんだな
優しい。
運転する姿は、さらにかっこよくて
横顔をちらっとみたら
ぎゅっと胸が苦しくなった。
「こんな寒い中、歩いてたら全身凍るからね?」
「そんなことないです!毎日歩きですし。」
「免許は?」
「持ってますよ!一応。
地元に帰った時くらいしか、運転しないですけど。」
「ペーパー?」
「違います!たまに乗りますもん!
意外と、上手いんですよ?」
「じゃあ、今度乗せてもらおうかなー。」
ほら、また。
何気ない会話の中で次を期待させるようなこと言う…
女の子が喜ぶこと
この人はよく知ってるんだろうな。
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作者名:ゆゆ* | 作成日時:2017年9月6日 12時