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○11 ページ11

「はい。あかり。」




「でかっ!」



そう言って私の顔を見て、なんだかニヤニヤしてくる



「A−(笑)」



「ん?(笑)」



「ね!今日、宅飲みしようよ。

何かいいことあったでしょ?」



「あ、ごめん。今日はだめ。

また今度にしよ?」



「ふーん(笑)

そういうこと?」



あかりのほうを見ないで

パソコンの画面と書類とにらめっこ




さっきまでの自分が嘘のように

なんだかすいすいと進んでいく




机の左端には、飲みかけのドリンク




それをちらっとみて

もう一度気合を入れなおす。




恋の力ってすごいね



時計を見たらいつの間にか、もうすぐ8時。




デスクの上にある携帯が光るのを待ってるのに

いつまで経っても光らない。



やっぱり社交辞令だったのかな…。




はぁ…


自分のキーボードのタッチ音だけが

虚しく鳴り響く



帰ろうかな




鳴らないな




もう帰ろう




鳴るかな




鳴らないな。



あと10分たったら帰ろう…………



やっぱりあと5分にしよう………



ここだけやっちゃおう。



集中しようと視線を戻した時に

ピカッと着信を知らせるランプが点いた



「もしもし!」



「もしもし。


連絡遅くなってごめん

話、長引いちゃって。



Aちゃん、まだ会社?」




「お疲れ様です。


はい、会社にいましたよ。」




「あと20分で戻れる。


遅くなって本当ごめんね。


もうちょっとだけ、待ってて?」



「いえ、大丈夫です。

まだ終わってなかったので。



気をつけて、戻って来てくださいね。」



たった数分で終わる会話なのに



終わった後の心は

とてもあったかくて。



よし、戻ってくるまでに絶対終わらせる!



待ってる時間のことなんて

一気に忘れてしまうくらい。



それだけ、私の心には

大きな存在になっていることに



ちょっとだけくすぐったい気持ちになる。



でも、こうやって

私に連絡をくれるってことは


ちょっとくらい期待してもいいのかな。

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作者名:ゆゆ* | 作成日時:2017年9月6日 12時

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