私たちは知らない 2

何かを求めて ページ24

.


「えっ…と、それは、今のチームを外れて、っていうことですか？」

「うん、そう。お前将来は監督志望だったろ？いい勉強になると思うけど」


確かに、そうだ。

私もあんな綺麗な映像を取る人の近くで学んでみたい。


その技術を盗めるものならば、盗んでみたい。



「その、海外には…何ヶ月か行くんですよね？」

「うん、最低でも3ヶ月くらいは帰って来れないと思って」



さっきぶつけた膝が、また痛くなる。



「まぁ今日は急だから、返事は明日ちょうだい」


明日でも十分急ですよ、と言いたくなったけど我慢した。


何人ものクリエイターがいる中で声を掛けられたことにも意味があるし、こんなチャンスは滅多にないって分かってる。

こんなの、どんな犠牲を払ってでも即決してもいいくらいの誘いだ。



「…3ヶ月」

1人残された会議室で、ひとり呟く。



たった3ヶ月、されど3ヶ月。

3ヶ月あれば、色んなことが変わってしまうかもしれない。



スンチョリオッパもミヨンさんも、

ジフニだって。



帰国しても、今の、MVを作っているチームには戻れないかもしれない。


それに、年明けから始動するプロジェクトだから、次のSEVENTEENの曲のMVに携わることは出来ないだろう。


よく分からない焦りと不安で、息がうまくできない。




〔今から向かうね〕


息を吸える場所を求めるかのように、ジフニにメッセージを送った。



.

大きな夢→←それの意図

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す