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雨地の問いに、少し唸ってから答える。
「……どうだろ。大体君の事を話したとして、信じてくれるかどうか」
「霊感の事は誰にも話していないのか」
私は苦笑いを浮かべる。
「……まぁね。あんまり好感のもてない能力なわけだし。言ったとしても信じてくれないと思う。
だから、友達にも叔父さんにも話していないよ」
私は、霊感というのは所謂超能力の類だと考える。
人は得体の知れないものを恐れる。それに、大体霊感があると謳えば少なからず周囲から不気味に思われるだろう。故に、私は何があっても、霊感があることを決して告白しようとはしなかった。
「せめて叔父さんにも姿が見えたら、何か手かがりが見つかると思うんだけどね。あの人、結構人脈とか広いから」
言っていて、何故あの時悠太郎に雨地のことを聞かなかったのだろうと今更後悔した。今度ちゃんと聞いておこう。
それに、なんらかの方法で雨地の姿を見せれば、より良い情報が得られるかもしれない。
窓に目をやると、まだ意地悪く雨が降り続いている。この調子だと、明日も雨が続きそうだ。
これからどうするかな、と思考を巡らせたその時、雨地がこちらに近づき、背後のドアの前に立つ。
私は思わず呼び止めた。
「あれ、何処か行くの？」
雨地はこちらを振り返って、
「しばらくここを回ってみようと思ってな。あんたはこれから飯とかあるだろ」
「でも、ここにいれば」
私は駄々をこねるような事を言う。正直言って、あまり彼を一人で何処かに行かせたくないのだ。何も言わずに消えてしまいそうで。
何故、まだ出会ってすぐなのにこんなに彼に入れ込むようになったのかは自分でも分からないが、なるべく出来るなら、彼と一緒に行動したい。
だが、私の希望とは裏腹に、彼は首を振った。
「幽霊だからかは知らねぇが、俺は生憎腹は減らんし睡眠も必要ない。ただ動ける時間がありゃ動いておこうと考えただけだ。
別に何処かに行くって訳じゃないぜ」
正直一人じゃキツいと思っていた、と雨地は一言を付け加える。
それから雨地は口を閉ざした。ただ、私の答えを待っているようだった。
「...分かった。気をつけて」
幽霊の彼に何処を気をつけるべきなのかは自分でもよく分からないが、私は渋々と承諾する。
雨地はそれを受け、ドアを開けずにそのまま透過してドアの向こうへ消えていく。
幽霊だから透けて通ればいいのか、というのは置いて、私は気が気でない状態だった。
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燕＊(プロフ) - ちくわのカルパッチョさん» コメントありがとうございます！あの時はリクにお答えして下さったこと、ご愛読やお気に入りまでして頂いて、心から感謝申し上げます…！お褒めの言葉、とても嬉しいです！これからも当作品を宜しくお願い致します！ (2016年1月6日 2時) (
レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわのカルパッチョ(プロフ) - だいぶ前にイラストのリクを承った者ですが、それがきっかけとなりあの時からこの作品をお気に入り登録させていただいています。とても描写が綺麗で繊細でいつも引き込まれます。これからの展開が楽しみです＾＾ (2016年1月5日 23時) (レス) id: 5e0cf1c1a8 (このIDを非表示/違反報告)
燕＊(プロフ) - 伝吉さん» コメントありがとうございます。紹介の件は大丈夫です。まだそこまでネタバレしてはいけない所まではいってもないので← イラスト、楽しみにしておりますね！ (2016年1月4日 22時) (レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
伝吉(プロフ) - 近日中にイラストを上げられそうなのでご報告にあがりました。そこで一つ提案なのですが、この小説を私の作品で紹介しても構いませんか？勿論、ネタバレしないように気を付けます。どうでしょうか？ (2016年1月4日 21時) (レス) id: bc33d6f617 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 伝吉さん» うわああわざわざ読んで下さってありがとうございます！とても励みになります…。これからも日々精進して参ります！ (2016年1月1日 0時) (レス) id: f04a1805d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燕 | 作成日時：2015年7月17日 1時
