13話 ページ14
「私彼氏出来たから」
(言えた…弓弦にいに言えた…!)
遂に、あの兄達に言ってやったのだ。
まだ弓弦にいのみだが、奏真にいにも帰って来たら言ってやろう。
(どうよ弓弦にい!?これで少しは反省して_)
そう思って弓弦にいの方を再度みると、弓弦にいは静かに涙を流していた。
「は、何で泣いて__」
「俺、自分の部屋にいるから」
そう手をぱっと離され、そのまま2階へと戻っていく。
しーんとした空気のまま、私は一人廊下に取り残されてしまった。
「何なの、もう」
翌日も、その次の日も、新学期になっても弓弦にいはずっと暗い雰囲気のままだった。
奏真にいは真顔のままずっとボソボソ呟いている。
どこからだ、なぜ、俺は蘭音を__全く意味が分からない。
あんな様子でいられたら多少申し訳なさも芽生えてくる。
まぁ私が悪いとも思ってないし、謝りなんて絶対しないけど。
そもそもそれ以上に私は付き合えたという事実に浮かれてしまっていた。
無理もない、あれだけ憧れていた夢が実現したのだ。
家の中は真冬の雰囲気だが、音也君といるときは春の暖かい雰囲気だ。
今日もそんな春の雰囲気を求め__もう登校を止めようともしない兄達に呆れを感じながら__私は家を出た。
バスの中で音也君と合流し、そのまま登校。
ここ最近音也君とはお昼も登下校も一緒だ。
数少ない友人たちは、気を使ってなるべく一緒に過ごせるようにしてくれている。
正直ここまで一緒にいたらウザがられるのでは、と心配になったが音也君は嫌な顔せず一緒に過ごしてくれるし、この前なんて二人で入れて嬉しいと言ってくれた。
まさに王子そのものだ。
教室の中に入った時には、話題はうちの兄の話になっていた。
「まだもめてるの?お兄さんと」
「うん。仲直りはすぐには難しそうかも」
「そっか。まぁ家族と言えども他人は他人だし、色々あるのはしょうがないよ」
(他人…確かにそうだな)
“家族といえども他人は他人”
私はその言葉にとても衝撃を受けた。
今までそんな発想なかったが、確かにおっしゃる通りである。
兄と私は家族だが全くの他人だ。
「そっか。ありがとう!」
「いえいえ。これからも何かあったら教えてね、彼氏だし」
そういって微笑んでくれる音也君に胸がときめく。
兄達なんかとは大違いだ、優しくて格好いい。
とても素敵な人である。
__だからこそ、他人の言葉に最初少し寂しさを感じたのは、きっと気のせいだろう。
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すにすな@さくらぁ - *桜もち。さん» やっと更新したよ〜一応もう流れは最後まで決まってるから、更新停止にならないレベルでポツポツ更新していく予定✨ (9月25日 22時) (レス) id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - 久々の更新だ〜〜〜!!!まじで楽しみにしてました!!!やっぱり好きだなあ………この小説…✨ (9月25日 17時) (レス) @page14 id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
カテゴリーJ♢桜もち。 - すにすなさん» しかも確か観覧車の中でだったよね?笑 弓弦お兄ちゃんスパイの才能あるのでは……… (2022年9月23日 16時) (レス) @page13 id: 5027370f8c (このIDを非表示/違反報告)
すにすな - カテゴリーJ♢桜もち。さん» ありがと〜!!!なんでお前見てるんだよって私も書きながら思った……笑 (2022年9月23日 16時) (レス) id: 3bd902a602 (このIDを非表示/違反報告)
カテゴリーJ♢桜もち。 - テスト期間お疲れ様〜!!更新楽しみにしてました!!!弓弦お兄ちゃん2人のキスまで見てたのか……すげぇ((ドキワクな展開だね〜💖 (2022年9月23日 14時) (レス) @page13 id: 5027370f8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すにすな@さくらぁ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ruriruhomupe1/
作成日時:2022年7月29日 19時