12話 ページ13
「蘭音ちゃんが好きだよ」
(今、好きって…)
まさか相手から言われるなんて思ってもいなかったから、その言葉を、状況を理解するのには少し時間がかかった。
けど、その後一気に嬉しさとか驚きとか恥ずかしさとかがあふれてきて、顔が赤くなっていた。
「どうかな…?」
(そうだ、返事しないと)
ちょっと言葉考えてから言おう__そう思った時には、もう口が勝手に開いていた。
「私も、音也君のことが大好きです!」
(大までつける気なかったのに…大好きって)
自分が言ったことを振り返り、後悔し、叫びたくなる。
胸の中は言えた満足感と羞恥心でいっぱいだ。
「__ほんと?嬉しい。そう言ってくれてありがとう」
くしゃっと笑う音也君に胸が高鳴る。
窓から外を眺めた。
もう頂上はすぎているけれど、それでも今までの中で一番の絶景だ。
(幸せだな)
そう、改めて実感した。
「家まで送ってくれてありがとね」
「ううん、大丈夫」
その後、私たちは遊園地から出て駅へと向かった。
もうあたりは少し薄暗くなっている。
こうやって送ってくれる音也君は何とも紳士的だな、と改めて実感した。
「今日は楽しかったよ、ありがとう」
「俺もはちゃめちゃに楽しかった。ありがと」
音也君がこちらをじっと見つめてくる。
(音也君、そんなに見つめてどうしたんだろ?)
細くて長い、綺麗な音也君の手が私の髪をなでた。
変に音也君の指が触れてしまうのを意識してしまう、くすぐったい。
そのままゆっくりとおりてきて私の頬を優しく掴む。
「蘭音ちゃん」
そう言った後、音也君の唇が私の唇に触れた。
軽いけど、優しいキス。
すぐ唇は離れて、再び音也君の顔が視界に映った。
優しくて、色気のある笑顔は見てるこっちもどきどきしてしまう。
「それじゃあね」
音也君の背中が豆粒ぐらい小さくなるまで、外で私は見送った。
玄関を開けて、家に入る。
目の前には_やはり兄がいた。
これがデジャヴか。
(あれ、けど、弓弦にいだけだ)
「奏真にいは?」
「_塾」
「ふうん」
横を通り過ぎて二階へあがろうとすると、手首をパシっと掴まれる。
掴む力は強くて、なかなか離せない。
「お前、三戸部音也とキスしてただろ。何してんだよ」
(見られてたの!?)
顔がカッと赤くなる。
まさか、ここまで見られてるだなんて思いもしなかった。
(もう全部、言おうかな)
そうだ、言えばきっと楽になる。
兄の過干渉もきっと収まる。
「私彼氏出来たから」
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すにすな@さくらぁ - *桜もち。さん» やっと更新したよ〜一応もう流れは最後まで決まってるから、更新停止にならないレベルでポツポツ更新していく予定✨ (9月25日 22時) (レス) id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - 久々の更新だ〜〜〜!!!まじで楽しみにしてました!!!やっぱり好きだなあ………この小説…✨ (9月25日 17時) (レス) @page14 id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
カテゴリーJ♢桜もち。 - すにすなさん» しかも確か観覧車の中でだったよね?笑 弓弦お兄ちゃんスパイの才能あるのでは……… (2022年9月23日 16時) (レス) @page13 id: 5027370f8c (このIDを非表示/違反報告)
すにすな - カテゴリーJ♢桜もち。さん» ありがと〜!!!なんでお前見てるんだよって私も書きながら思った……笑 (2022年9月23日 16時) (レス) id: 3bd902a602 (このIDを非表示/違反報告)
カテゴリーJ♢桜もち。 - テスト期間お疲れ様〜!!更新楽しみにしてました!!!弓弦お兄ちゃん2人のキスまで見てたのか……すげぇ((ドキワクな展開だね〜💖 (2022年9月23日 14時) (レス) @page13 id: 5027370f8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すにすな@さくらぁ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ruriruhomupe1/
作成日時:2022年7月29日 19時