好きって言わせて。【オリジナルストーリー】【恋愛小説】【シスコン】

11話 ページ12

食事も終わり、そろそろレストランを出ていく時間になった。

「音也君、そろそろ出て遊ばない？」

「うん、そうしよっか」

各自荷物を持ち、立ち上がる。
私は忘れ物がないか確認し、音也君のほうを振り向いた。

「じゃ、でよ！って音也君、どうしたの？ぼーっとしてるけど」

音也君は反対側の客席を眺めていた。

「…いいなぁ」

こっちの声に気づいてないのだろうか。

(何がいいんだろ？)

音也君が眺めている方を見ると、そこにはお父さんお母さんと男の子がパフェを食べていた。
それも大分でかい、大食い番組とかで出てきそうな大きさだ。
甘党の私にとっては大分心が揺さぶられるものである。

(うわぁ美味しそう！)

「ああいうの素敵だよねぇ〜！」

「え？」

「パフェ、私も食べればよかった。何で気付かなかったんだろ」

「ああ、うん」

「ま、いいや。出よ〜」

そういって私たちはレストランを後にした。

(それにしても音也君は私と同じ甘党だったとは…！)

新たな共通点を見つけ、ひそかに喜んだ。


その後、私たちは色々なアトラクションを巡ったり、パレードを見たりした。
叫んだり、笑ったり、感動しあったり。
どんどん心が通じ合っていってる気がした。

(このまま時間が止まればいいのにな)

そう思いながら、私は目いっぱい楽しんだ。

そして、今から本日のメインイベント、観覧車がやってきた。
もうすぐ私たちの番だ。

「足元に気をつけてお乗り下さーい」

よろけそうになりながらも無事乗り、ドアを閉めてもらった。
1周約15分。
その間に私は告白を済ませるのだ！
私はふんす！と気合を入れた。


円が大きい分、進んでいくスピードも速く、どんどん上に上がっていく。
まだ4分の1ぐらいだというのに、もう余裕で園内を見当たせるほど高くなっていた。

「高いねぇ〜！」

「ほんとに。蘭音ちゃんは高いの平気なの？」

「全然余裕！木登りとかも昔してたし」

「へぇ、意外とたくましいんだね笑」


そんなことを話してるうちに、そろそろ頂上になりそうだった。

「もうすぐてっぺんだね！」

「本当だ！高！」



そろそろ頂上。
今が、いいタイミングかもしれない。
背筋を正して、目線を音也くんの方にずらした。

「あのさ」

私が口を開く前に、音也君が話しかけてきた。

「うん、なあに？」

独特の、緊張感あふれる雰囲気が漂う。
丁度頂上の時、その言葉は発せられた。


「蘭音ちゃんが好きだよ」


一瞬、二人の時が止まった。

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