白のリコリスが咲く8【Harry potter】 (ページ30)

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Aとネビルが生活する〝必要の部屋〟には、飛びきり贅沢な樹上の家の中か、巨大な船室のような感じの大きく色取りどりのハンモックが天井から窓のない黒っぽい板壁に沿って張り出したバルコニーにぶら下がっている。

なんと驚くことに___人数が増えるごとに、ベットだけでなくハンモックが出現し始めたのだ。

板壁は鮮やかなタペストリーの掛け物で覆われ、そのタペストリーは、青地にレイブンクローのブロンズ色の鷲、深紅の地にグリフィンドールの金色のライオンの縫い取り、黄色地にハッフルパフの黒い穴熊が描かれている___銀と緑のスリザリンの蛇だけがなかった。

これはダンブルドア軍団のメンバーの、それぞれの寮カラーを象徴していた。

Aとネビルが生活を始めた1週間前とは様子が変わり、部屋の中には学年や寮、男子女子も関係なく過ごす様になった。

シェーマス・フィネガン、ラベンダー・ブラウン、パドマとパーバティのパチル姉妹、コリン、デニス、マイケル・コーナー、テリー・ブート、アンソニー・ゴールドスタイン、ハンナ・アボット、スーザン・ボーンズ、ザガリア・スミス、アーニー・マクミラン___そのほとんどの多くが、ハリー達と同学年の生徒達だ。

人数が多くなる程、食糧や水の問題があったが___それでも、アバフォースは嫌な顔をせずに快く人数分のそれを用意して待ってくれていたし、それらをホッグズ・ヘッドに取りに行くのはもっぱらリーダー格であるAとネビルの仕事だった。

4月の満月を明け、次の1週間分の食糧をアバフォースに貰う為にA達はアリアナのトンネルをくぐってそこへと向かった。

「___よく来たな」

「毎回申し訳ないけど、また今週分も頼むよ__あれっ！？」

驚くネビルの声に続いてAがトンネルから降りて出ると、アバフォースが立つカウンターの前に、鳶色の髪色をした1人の男性が座っていた。

「ルーピン先生！」「リーマス！！」

Aとネビルがほぼ同時に彼の名を呼ぶと、座っていた椅子から立ち上がり朗らかな笑みを見せてくれた。

「やぁ、ネビル__A、久しぶりだね」

あの夏以降、リーマスとは全く顔を合わせていなかったし、危険を回避する為に連絡も取り合っては居なかった。

満月明けの、疲れ切った表情ではあるが__その奥には興奮と喜びの色が含まれているのを感じてAは何となく、リーマスがここに来た理由が解った気がした。