白のリコリスが咲く8【Harry potter】 (ページ28)

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ドビーはどうなったのか、ハリー達は無事に逃れられたのか。

〝必要の部屋〟へと戻ったAはそれらの不安に包まれながら、1人静かに夜をやり過ごした。

彼らがどうなったのかを、知る術を持っていないAにとって、長い夜だったが___夜明けと共に、自分のポケットの内側に入れていた〝D.A〟の金貨がブワッと熱を持ったのを感じそこから引っ張り出すと、今まで連絡が取れなかった大切な友人からのメッセージが浮かび上がったのだ。

【あたしは無事よ。〝死喰い人〟に捕まっていたけど、ハリー達と一緒に逃げる事が出来たわ】

それはルーナからのメッセージだったのだ。

【ハリー達と？どういうこと？】

状況を知らないジニーからのメッセージが入ると、ルーナは詳細を教えてくれた。クリスマス休暇に攫われたルーナはイースターの時期になる今まで、同じく行方不明だったオリバンダー氏と、最近になって捕まってしまったディーン・トーマス、グリンゴッツのグリップフックと共にマルフォイ邸の地下牢に閉じ込められていた。

そして、そこに__旅をしていた筈のハリー達が捕まってしまい、同じ様に閉じ込められてしまった。
一時顔を腫らしていたハリーがハリー・ポッター本人かどうかの審議が掛けられたが、ドラコが「本人かどうかは解らない」と告げた事で、一先ず彼は難を逃れ牢獄に入れられたが___ハーマイオニーは違った。

〝グリフィンドールの剣〟を手にしていた事で、マグル生まれの彼女に対してベラトリックス・レストレンジが怒り狂った様に拷問を始めたのだ。

だが、絶体絶命だと思われたその時___屋敷しもべ妖精のドビーが現れた。

【彼のおかげで、みんな〝騎士団〟の隠れ家の〝貝殻の家〟に移動出来たよ___】

ルーナはそう告げたが、最後には、ドビーはベラトリックスのナイフによって致命傷を負い亡くなってしまったのだとくくった。

【あんなに勇敢な屋敷しもべ妖精さんは見たことない___とっても立派だった】

ドビーはその場に居た友人達に囲まれながら息を引き取り___〝貝殻の家〟とその近くの海を見る事が出来る丘の上に、ハリーの手によって埋葬された。

Aは友人の為にと身体を張った、勇敢で優しい小さな友人に祈りを捧げた。

ドビーが望んだ自由で明るい世界にする為に、彼の決意と行動を決して忘れてはならないと口をギュッと強く結んだが___涙は全く枯れる事は無かった。