白のリコリスが咲く8【Harry potter】 (ページ7)

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例年であれば、O.W.L試験の結果が夏の間に届いた新6年生であるA達は新学期に寮監と共に今年度受けるべき授業を選択するはずだったがそれはなされなかった。

これまで選択していなかったマグル学が必須科目に付け加えられ、学業の自由は阻まれてしまったのだ。

更には将来就きたい職業についての面談も行われない___5年生以上の生徒達は困惑と、落胆の色を見せた。

一体何を楽しみに学業に励めばいいのか。

レイブンクロー寮の誰かがそうポロリと寮の談話室でこぼしたのをAは聞き逃さなかった。

マグル生まれの生徒達に対する扱いは、とても恐ろしいものだった。まず、アレクト・カローが教鞭を取るマグル学ではマグルがいかにして〝魔法〟を剥奪してきたのかを述べ、授業内でマグル生まれの生徒達を立たせては暴言を吐き__杖を振るって無抵抗な彼等に体罰を与えた。

もっと酷かったのはアミカス・カローの〝防衛術〟だった。彼はマグル生まれの生徒を名指して杖を取り上げて教壇に立たせ、『見本だ』と言いながら拷問に近い行いを続けた。

呼ばれて前に立たされたコリンは、もうほとんど__気を失いかけていた。

「プロテゴ！！」

それ以上の呪文が彼を苦しめるのを見ていられなくて、Aは1人立ち上がって盾の呪文を唱えた。

Aがコリンに駆け寄れば、躊躇っていたジニーとルーナも彼を支える為に助けてくれた。

「どけ」

怒りを露にするアミカスの顔を見てグリフィンドール生も、レイブンクロー生も学年首席の可憐で美しい少女に一斉に注目した___誰もが、これから先に起こる事を心配して表情を歪めた。

Aはこれまで、どちらかというと同学年からは煙たがられているような感覚を持っていた。それはほとんどレイブンクロー生からであったが、他寮からもそういった視線を受けた事は幾度となくある。

こんなにも誰かに心配されるのは初めてだと思った。

「___どかないわ」

アミカスはニヤリと笑みを見せた。

「なら、〝半人狼〟のお前が代わりになるか」

〝半人狼〟という言葉を聞いて、シンとしていた教室から誰かのゴクリと唾を飲み込む音がした気がした。

アミカスの言葉によってそれを知った生徒達はどう言った反応をすれば良いのか解らない様だった。

アンブリッジの時も、今この瞬間も__誰かの為に立ち向かう彼女に対して〝人狼〟の血が通っているからといって差別の目を向けることは出来ないと誰しもが感じていたのは確かだった。