白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ48)

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「ジニー、、？クレヴァ、、？」

感覚を頼りにたどり着いたのは、普段誰も寄り付かない三階の女子トイレだった。Aが恐る恐るそこへ足を踏み入れると、一気に悪寒が身体を巡った。

目に入ったのは、杖を強く握りしめたジニーの後ろ姿だが___あれは、ジニーではない。

そして、彼女の後を付けてきたはずのクレヴァが、どういうわけだか血を流して倒れていた。

Aはどうしたらいいか、解らなかった。

そんなつもりは無かったのだ。

ピチャピチャと滴る水の音、ズリズリと鳴るあの何かが動く音、被害者が出る度に感じたあの生臭さ___〝秘密の部屋〟とジニーが関係しているなんて、思ってもいなかった。

「貴方は、誰なの__ジニーじゃない。そうでしょう」

Aの声に振り向いたジニーはとても冷たい眼をしていた。彼女の手が震えながら杖をAに向け始めたが、Aにはジニーに杖を向けることが出来なかった。

ジニーの片手にはあの手帳が握られている。

「貴方は、手帳の中の〝何か〟ね___」

確信に触れてしまったのか、ジニーの手が大きく杖を振った。

『助けて、A』
『だめ、誰か私を止めて___』

Aは後ろにゆっくりと倒れながら、ジニーの声を聞いた気がした。

「___ん、、」

何か激しい音が聞こえ、身体に痛みを感じながらAが目を開けると、見た事のないジメジメとした空間に横たわっていた。

すぐ真横には、ジニーが倒れている。呼吸はしているが、今にも止まってしまいそうな位弱々しかった。

Aが当たりを見渡そうとすると、見慣れないスリザリン生の男子生徒が居て、ハリーが息を荒げている。すぐ側には牙を剥いた大きな大蛇がズリズリと音を立てて這っていた。

「ハリー！」

「A、、！そいつはトム・リドル__昔のヴォルデモートなんだ！ジニーはそいつに操られて、〝秘密の部屋〟を開けたんだ__」

バジリスクと戦いながら、途切れ途切れにそう告げたハリーから目を離し、近くにいた男子生徒に目を向けた。

これが、ヴォルデモート、、？

「貴方が？」

「いかにも。ジニーを操るのは簡単だったが、君は常に目障りだった__何者だ？」

彼は品定をするかの様に、上から下までAをじっと見据えた。

「A・グレイディ」

Aが名乗ると彼は馬鹿にした様に声を出した。

「僕は、〝何者〟だ、と聞いているんだ」

見透かす様なギラギラとした眼に、Aは思わずゾッとした。