白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ36)

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マグル生まれの生徒が襲われた、という事実はホグワーツ中の皆を恐怖に陥れるニュースだった。

医務室で石になったコリンの姿を見たAは悲しさと衝撃で心臓がバクバクと音を立てた。

しかし翌朝、医務室に出る時には彼のベッドは、周りの視線から遮断されるようにとカーテンが引かれていて、もうあの時のように石となった姿を見ることはなかった。

コリンと特に仲が良かったジニーはとてもショックだった様であれから顔色がより一層悪くなり、いつもどこか、ふらふらとしている。

「ジニー、困ったことがあったらいつでも言ってね」

「ありがとう__」

寮が違う為に常にジニーの側で支えてあげることが出来ないのが歯痒かった。合同授業を終え、彼女にそう声を掛けたが__Aが抱える黒猫のクレヴァが、フーフー！と威嚇するように彼女に牙を見せてしまった。

「あっ！こら、クレヴァ！」

新学期に友達になった際にはジニーにも懐いていたクレヴァの態度に、Aも彼女も驚いた様に目を見開いた。ジニーは何か言いたげに口を開いたが、すぐにそれを辞めてそそくさとその場を立ち去ってしまった。

12月に入ると雪がシトシトと降り始める日が増えた為、ドラコとの箒の飛行訓練はしばらくの間行わないこととなった。彼の教えが上手かった甲斐があって、2回の訓練でAは授業で遅れをとらない程に上達していた。

「とても良い練習相手を見つけた様ですね__」

フーチ先生はAの飛行訓練の相手がスリザリンのドラコ・マルフォイだと知った時はあの大きな眼をさらに大きくさせたが、上達したAとアドバイスをくれた彼にそれぞれ5点を与えてくれた。

ロックハート先生の授業では、全学年を集め決闘クラブが行われたが、それも虚しく再び事件が繰り返された。

それは底冷えのする様な日だった___空き時間を自習室で過ごしたAがルーナと共に寮へ戻ろうとした時___再びあのズルズルとした音と、下水道の生臭い匂いがした。

Aがピタ、と足を止めて眉間に皺を寄せたのでルーナが口を開いた。

「また匂いがするの？」
「うん__」
「スネイプが取り合ってくれないなら、ダンブルドアに言うべきだと思う。だって、Aのそれは何かの異常を察知しているのかもしれない」

後に、ルーナのその言葉は正しかったことを知った。

Aが音と異臭を感じたあの時、ほとんど首無しニックとジャスティン・フィンチ-フレッチリーが何者かに襲われ、石となったのだ。