白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ34)

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だが、勝利はドラコではなくハリー・ポッターの手に収められたことを試合のすぐ直後にAは医務室で知ることとなった。

Aが医務室のベッドでカーテンを締め切って身体を休めていたところ、ガヤガヤと複数人の生徒達がハリー・ポッターを囲う様にして押し寄せてきたのだ。

「何事ですか」

あまりの騒々しさにマダム・ポンフリーが眉を顰めると、渦中にいたハリー・ポッターに目を止めて『まあ！』と大きな声を上げた。

「骨をくっつけるのなら簡単ですが___蘇生となると大変ですよ」

〝せっかくハリーがスニッチを取って勝ったのに__〟ガヤガヤ騒いでいた生徒達を追いやる様にして、マダムは彼に薬を渡した。相当苦かったのか、『うっ』と唸る様な声がした。

「さぁ、貴方も薬の時間ですよ__」

マダムがAのベッドに声を掛けたので、控えめにカーテンを開けると、ハリー・ポッターが驚いた様にこちらを見た。

「や、やぁ__」
「こんにちは」

彼と目があったのは、ハロウィンの夜以来だ。

マダムから受け取った薬をコクリ、と飲み込むAの姿を探る様に彼が見ていたので、興味を逸らす為にAは彼に声を掛けた。

「腕の骨が無くなるなんて、大変ね__クィディッチはそんなに危険なの？」

Aの質問は彼にとったら少し素っ頓狂なものだったらしい__首を振りながら少しだけ笑みを見せてくれたが、うんざりと言った様子で答えてくれた。

「ロックハート先生が治療すると言って〝消してくださった〟んだよ」

「___ぁあ、あの先生ならやりかねないわね__災難ね。何もせずにマダムのところまで連れて行ってくれたら良かったのに」

Aのそのセリフにロックハートに対する棘を感じたのか、彼は驚いた様に目を見開いたがニヤリ、と笑った。

「僕、ハリー・ポッター」

「よろしくハリー。私はA・グレイディ__レイブンクローの一年生よ」

Aとハリーの間に小さな友情が芽生えた瞬間だった。