白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ31)

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ミセスノリスはどうやら何者かに〝石〟にされてしまった様だった。後から来た生徒や先生達からはハリー達を筆頭としたAを含めた4人を怪しんだものの、ダンブルドアは〝不問〟としてくれた。

___普通の魔法使いでは扱えない、高度な魔術が猫に掛けられていたのだ。

その魔術による石化はどうやら、薬草学で育てられているマンドレイクから作る薬を与えることで解けるそうだ。

「さぁ、もうお行きなさい」

4人はようやくダンブルドアから解放されたが、未だにフィルチは納得がいっていない様だった。

体験した事のない恐怖に青ざめながらも、最初に向かおうとしていた医務室へと足を進めようとした時、ハリー・ポッターとバチリと目があったが、特に会話を交わすこともなくAはその場を後にした。

満月の夜が明け、そこから数日経っても学校内の話題はミセスノリスと〝秘密の部屋〟についての謎で持ちきりだった。

「Aはどう思う？」

この話題にはルーナも興味がある様であったが、彼女の問いかけ方はまるで朝食に糖蜜パイを食べるか、と尋ねている程に軽やかなものだ。

「うーん、、誰かが面白がってした悪ふざけ、にしては不気味よね」

ハロウィンのあの夜に嗅覚と聴覚で体感したものはマダムにもセブルスにも黙っていた。あの不思議な感覚に誘われる様にしてあの場所に行ってしまったなんて___とてもじゃないが言えなかったのだ。

〝不気味〟というワードをAが呟くと、そばにいたジニーがバサバサと音を立てて持っていた教科書達を落とした。

「大丈夫？」

「う、うん__」

ルーナやコリンと3人でそれらを拾い上げて彼女に手渡したが、顔色は本当に真っ青だった。

「顔色が悪いわ__」
「ジニー、一緒に医務室に行こう！僕がそれ持ってあげるから」
「あたしもそれがいいと思う。ジニーここのところ食欲もないんだもン」

レイブンクローは次の授業に向かわなければならなかった為、医務室の引率はコリンに任せることにした。

ジニーの手荷物を代わりに抱えて、彼女の体調を気にしながら歩くコリンと、彼の後ろをふらふらとついて歩くジニーを見送りながら、Aはルーナと次の授業の教室へと向かった。

___、、？

手荷物はコリンに手渡したはずなのに、ジニーは日記の様な黒い手帳を両腕でしっかり抱き抱えて歩いていた。

まるで、誰にも取られない様にと警戒しているみたいに、その腕には力が込められていた。