白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ3)

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「セブルス、一体何事じゃ___」

ホグワーツの夏季休暇中に、ロンドンにあるマグルの孤児院の前に呼び出されたダンブルドアは不思議そうな表情でセブルスと彼の後ろにある建物を交互に見た。

「まずは、ご自分の目で確認なさってください___」

シスターに軽く会釈をしながら、セブルスは慣れた足取りで建物の中にある中庭へと足を進めた。

中庭が見える手前に差し掛かると、1人の少女が草花を手に取って匂いを嗅いでみたり、太陽にかざしてみたりと観察を楽しんでいるところだった。

「A」

セブルスがただ一声、そう名前を呼び掛けると、その少女はパッとこちらに顔を向け、はにかむように笑いながら掛けてきた。

「セブルス、こんにちは。シスターがそろそろ来ると言っていたから待っていたの____」

可愛らしい声でセブルスの名を呼び、親しげに話す少女に、ダンブルドアはあまりの衝撃に目を見開いた。

髪色は違うが、少女はかつて戦いを共にした女性によく似ていたのだ____

「こちらの方は？」

「___あぁ、すまない、アルバス・ダンブルドアじゃ。セブルスの職場の上司じゃよ。君はAと言うのかな」

「えぇ、そうです、A・グレイディです」

「A、これからダンブルドアと話がある。もう少しあちらで待っていなさい」

「___解ったわ」

セブルスの言葉を素直に聞き入れ、再び植物の観察を始めたAに視線を送りながら、ダンブルドアは口を開いた。

「___随分と、彼女に似ているの。名字が同じと言うことはそう理解して良いのかの」

「ええ」

「して、〝父親〟は誰じゃ___君ではなかろうな？__あぁ、そんな顔をするでない。一応の確認じゃ」

苦虫を潰したような顔をしながら、セブルスは静かに告げた。

「Aの〝父親〟は、なんとも愚かしい__あのリーマス・ルーピンです、ダンブルドア」

「リーマスは知っているのかね」

「ルーピンには知らせておりません___無論、周囲にも。ロキが望んでいたことですので」

「それならば、何故、今ワシに知らせた？ホグワーツ入学時には解ることではあったが、その頃でも良かったであろう」

「私が懸念していたことが起こったのです___ルーピンの〝人狼の血〟がAの身体の中で目覚め始めている」

「___なんと」

____幼く可憐な少女であるA・グレイディは両親の魔法の力だけでなく、父親の〝人狼〟の血を受け継いでしまった〝半人狼〟であったのだ。