白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ6)

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黙々と足を進めたセブルスは、ロンドンの孤児院に住んでいたAでも見たことのない薄汚れたパブの前で足を止めた。

「＿_ここは、マグルの世界と魔法の世界を繋ぐ場所だ〝漏れ鍋〟という。ホグワーツは全寮制であるが、長期休暇の際の君は大抵ここで寝泊まりすることとなることを覚えておきたまえ」

「___マグル？」

「君と過ごしていたシスター達のような、魔法が使えない非魔法族のことを指す」

淡々としていたが、セブルスはAの小さな疑問にもすぐに答えてくれた。

彼はAの荷物を店主に預けると引き換えに、部屋の鍵を受け取った。

「お客様がすでにお待ちですよ___」

店主のトムの言葉に返事することなく、セブルスは瞳をギラッとさせ、ただ冷たく、Aに『着いて来い』とだけ言うと2階に続く階段へ足を進めた。

＿＿ガチャ

セブルスが鍵を開けなくても、その部屋には先客が居た様だった。彼の背中で中の人物が見えなかったが、優しそうな男の人の声がした。

「____セブルス、こんなところに呼ぶなんて、一体どういう風の吹き回しだい___」

セブルスがぐいっと室内に入ったことで、ようやくAにもその人物の姿が見えた。

セブルスと同じ様な年齢でありそうだが、その風貌はなんだか少しやつれていて、顔や手は傷だらけ__生活に苦労しているのだろうか、着ている服装もヨレヨレとしていて、パリッと決めているセブルスとは雲泥の差だ。

ただその柔らかい鳶色の髪や、優しそうな瞳にAは何故だか心地良さを感じた。

彼はセブルスが少女を連れてきたことに驚きを見せていた様だったが、サッと手を出した。

「初めまして、リーマス・ルーピンだ」
「あの、A・グレイディです____」

彼の手を掴み、Aがそう告げると、リーマスの動きが完全に止まり、彼は目を見開きながらまじまじと彼女を見つめた。

「___その、なんだって、、？」

「ルーピン、まさか身に覚えがないと仰るのかな」

セブルスの言葉に、一瞬で顔を青白くさせるリーマスにAもしどろもどろになりながらセブルスを見た。

「セブルス、どういうこと？」

「A、この男が君の〝父親〟だ。この男は〝永遠〟を誓い合わず別れを告げたロキに、君を身篭らせた___なんとも無責任な男だ」

Aと2人きりの時には見せない、セブルスの刺々しい姿と初めて聞いた自分の出生の話に、今度はAが驚く番だった。