空想と現実 ページ49
「…ん、んん……、ぷはっ…!」
触れあっていた唇が解放されて、私は思いきり息を吸い込んだ。色んな理由で顔が真っ赤に染まっている。耳まで熱い。
「ちょ、銀ちゃ……、っん…」
と、私が銀ちゃんに声をかけるのすら遮って、ソイツは私の額にもう一度口付けた。さっきよりも……さっきのが現実だったとしたら、その時よりも長く。ちゅ、という音に、私は思わず目を固く瞑る。
階段で、銀ちゃんは私よりも下の段にいるため、視線は嫌でも真っ直ぐに交わる。今はあんまり身長差がないのだ。
すぐ目の前で、熱を持った銀ちゃんの赤い目が私を見つめている。それに息をするのを忘れそうになる。目が逸らせなくなる。銀ちゃんの目線が私を捉えて離さない。
「…ぎ、ん、ちゃ……?」
予想外すぎる展開に、頭が全くついていかない。誰かこの状況を説明してくれお願いだから。300円あげるから。
訳が分からない。そりゃそうだ。振られるとばかり思っていたのに、こんな状況になったんだ。無理もない。
銀「……オメーはホントに……なんだろ……思ってたよりバカだろ」
「は、はぁ…」
バカ。そう言われたのに、それに反論する余裕も今の私にはなかった。もう、何を言われているのかすら聞き取れないくらいに混乱している。
そんな私を銀ちゃんは、触れていた右腕を再び引いて、自身の腕の中に私を閉じ込めた。強く強く、それでも、大切に扱うように。そのぬくもりに包まれた私は、いよいよこれも夢の中なんじゃないかと疑ってしまう。が、これが夢だったら私は本気で泣くことだろう。
……が、胸を疼かせる痛みも、感じる熱も、夢とはとても思えない鮮明さで。背中に回った逞しい腕に、私は身体を委ねてしまうことにした。
銀「……お前は、ホントにそれでいいんだな?」
「…え、」
銀「俺の隣で生きるって話」
背中に回る腕にギュッと力を込めて、まるで離さないと言っているかのように。でも、行動とは裏腹に、「後悔しねーか?」と、自信なさげに言う。
「……、」
……そんなん、今更だよ。
「……後悔したくないから、そう言ったつもりなんですけど」
ご不満ですか、と。そう言ってやれば、私の耳のすぐそこで、ふは、という笑い声が聞こえて。
銀「あるわけねぇだろ。……それならもう思う存分に俺の隣で笑ってやがれ」
満足そうに、何処か幸せそうにそう言って。また、どちらからともなく、唇が触れた。
銀「…好きだよ俺も。めちゃくちゃに」
…空想と現実を飛び越える恋物語は、漸く始まったようです。
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廣岡唯 - 頑張れよ待ってるよ (12月26日 20時) (レス) @page1 id: 4e412208c6 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - ピピコさん» 待ってます! (2017年6月16日 21時) (レス) id: 2e2daa92b8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - さなさん» わわ!さなさん!コメントありがとうございます!!物語が今最大級に盛り上がっています!!(多分)頑張らせて頂きます!! (2017年6月16日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - すごく続きが気になります!頑張ってください! (2017年6月16日 19時) (レス) id: 2e2daa92b8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 千日紅さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも少しでも素敵な物語を書けるよう頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです!コメントありがとうございます!! (2017年6月16日 14時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年5月27日 20時