嘘 ページ43
私の声を遮った銀ちゃんを、私は訳が分からないまま見つめる。
「…銀、ちゃん…?」
銀「……」
あ、やばい。分かっちゃった。
……銀ちゃんは今、私が何を言おうとしたのか、分かってしまったんだ。そりゃそうだ。真っ赤な顔してあんな改まって「聞いてほしいことがある」みたいな雰囲気出してたんだから。それこそ少女漫画のワンシーンみたいな。
だって、今の銀ちゃん、すごく、困ったような顔を浮かべているんだもの。私が想像していたものより、もっと、何処か苦しそうな、そんな顔。
「…っ、」
ズキッ、と、また胸のあたりが鋭く痛んだ。そう。そんな顔を見たくなくて、させたくなくて、私は私の気持ちを伝えることを躊躇った。
だってそうだ。そのうち居なくなると決まっている奴に「好きだ」と言われたところで、何を得られるのだろう。残るのは喪失感だけだ。それも、気持ちが報われたと仮定してのこと。何とも思ってない奴に言われたところで、迷惑にしかならない。
………私のこの気持ちは、やっぱり迷惑なのだろうか。
「…銀ちゃ……、」
銀「悪り、俺、……ちっと野暮用があるから、行くわ」
……それは、あからさまな嘘だった。誰がどう見ても、嘘だと分かる、そんな顔。気まずそうに私から目を背けて。その目には、一体何が映っているのだろう。銀ちゃんは、今どんなことを思っているのだろう。
……それを考えると、またどうしても怖くなってきてしまう。
銀「すぐ帰るから、中入ってろや。雨降りそうだしよ」
「………、」
私は何かを言い出そうとした。確かに、何かを言おうとしていた。けれど、それは言葉にはなってくれなかった。喉のあたりでくすぶって、次第に消えていく。
雨よりも早く、私が泣きそうだった。
何を言えるでもなく、うつ向いて木製の床を見つめていれば、
銀「………ごめんな」
……そんな言葉が不意に、耳に届いた。
……何よそれ。それは何に対しての「ごめん」なのよ。私の言葉を聞きたくないことに?私の気持ちに?なんなの、一体アンタは、私に何を言いたいの?
銀「……」
「……っ、」
………なんでそんなに、迷いに満ちたような目をしてるの?
…銀ちゃんは呟くと、私に背を向けて階段を降りようとする。まるで私に、「もう何も言わないでくれ」とでも言うかのように。
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廣岡唯 - 頑張れよ待ってるよ (12月26日 20時) (レス) @page1 id: 4e412208c6 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - ピピコさん» 待ってます! (2017年6月16日 21時) (レス) id: 2e2daa92b8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - さなさん» わわ!さなさん!コメントありがとうございます!!物語が今最大級に盛り上がっています!!(多分)頑張らせて頂きます!! (2017年6月16日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - すごく続きが気になります!頑張ってください! (2017年6月16日 19時) (レス) id: 2e2daa92b8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 千日紅さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも少しでも素敵な物語を書けるよう頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです!コメントありがとうございます!! (2017年6月16日 14時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年5月27日 20時