子供扱い ページ37
……今まで銀ちゃんと一緒に過ごしてきて、銀ちゃんを好きになって、ソイツのことを知ろうと銀ちゃんのことを見ていたから、なんとなく、分かってしまった。
……銀ちゃんが、何かを隠してるんじゃないかってことに。
…全く。ずっと一緒にいると、気づかなくていいことにも気づいてしまうものだから困る。そんな些細なことにも気づいてしまうほど、どうやら私は、ソイツを見てしまっていたらしい。
そんな銀ちゃんを、何が出来るでもなく、何を言えるでもなくただ見つめていれば、銀ちゃんは薄く笑って、私の頭にポン、と手を置いた。その体温にすら、私の胸は締め付けられてしまう。
ずっと、触れていてほしい、なんて、思ってしまう。
銀「……あ、いっけね。そーいや俺ジャンプ買って来たはいいけどいちご牛乳買ってくんの忘れちったわ」
そう言いながら、銀ちゃんは私の頭から手を離して「ちょっとまた行って来るわ」と、また私に背中を向けてしまった。
「え…」
……待って、と、手を伸ばしかけるも、その手はさっきみたいに銀ちゃんの何処にも触れることなく動きを止めてしまう。もう少し伸ばせば、届きそうな距離だったのに、無意識に私は手を引っ込めてしまっていた。
「…銀ちゃ……、」
銀「んじゃ、いい子にしてんだぞ〜」
そう言って右手をひらひらと振る銀ちゃんは、私の方を振り返ることなくすたすたと廊下を歩いて行ってしまう。
……言いたいことがあるはずなのに、言葉が出てきてくれない。引き留めたいのに、身体が動いてくれない。それは、私自身が気持ちに反して躊躇してしまっているから。怖がってしまっているから。
……銀ちゃんを困らせることを。
……私の気持ちが、砕かれることを。
……自分の気持ちを、打ち明けることを。
それらは全部、ただ私が逃げているだけなのだ。銀ちゃんのせいじゃない。それは、自分でも分かっていた。
(……子供扱いすんなし…)
何よ、いい子にしてろよって。
私は所詮、子供でしかないのか。まぁ子供だけれども。それからはどう足掻いたって逃れようがない事実だ。
……でも、好きな人にそういう風に言われるのは、いい気分じゃない。
私が欲しい言葉は、そんな言葉なんかじゃないのに。
自分の不甲斐なさやらなんやらへの悔しさに両手を握りしめていれば、ピシャリと、万事屋の扉が閉まる音が部屋に響いた。
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廣岡唯 - 頑張れよ待ってるよ (12月26日 20時) (レス) @page1 id: 4e412208c6 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - ピピコさん» 待ってます! (2017年6月16日 21時) (レス) id: 2e2daa92b8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - さなさん» わわ!さなさん!コメントありがとうございます!!物語が今最大級に盛り上がっています!!(多分)頑張らせて頂きます!! (2017年6月16日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - すごく続きが気になります!頑張ってください! (2017年6月16日 19時) (レス) id: 2e2daa92b8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 千日紅さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも少しでも素敵な物語を書けるよう頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです!コメントありがとうございます!! (2017年6月16日 14時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年5月27日 20時