図星 銀時side ページ26
沖「……そりゃまた、どうして?」
「言えるわけない」という俺の言葉に沖田くんは怪訝そうな顔をしてそう聞き返してきた。俺としてはもうこんな話は終わらせたいのだが、恐らくコイツは言うまで俺を逃がしてはくれねぇだろう。渋々俺は溜め息混じりに話を続けることにした。
銀「……オメーも知ってんだろ。Aがこの世界の人間じゃねぇっつーこと」
そうだ、俺の記憶が正しければ、Aは以前、土方くんと沖田くんに自分がこの世界の人間ではなく、異世界からトリップしてきたのだと話している。そう一応聞いてみると、ソイツは「えぇ、まぁ」と頷いた。それを知っているなら、分かるようなもんだと思うのだが。
銀「……遅からず、アイツは自分の世界に帰ることになんだよ。それなのに、……それを知ってて気持ち伝えるなんざ、出来ねぇだろ」
それはきっと、Aを困らせる。Aの重荷になる。迷惑にしかならないのだ、それならいっそ、現状維持が得策だろう。
銀「Aに苦しい面しせるくらいなら、伝えたりなんかしなけりゃいい。だから…、」
この気持ちは言わねぇ。と、俺はそう続けようとした。が。
沖「ホントにそれだけですかィ?」
銀「あ?」
俺の言葉を遮り、沖田くんは口を開いた。それに思わずジャンプから目を離してソイツの方に向けてしまう。すると。
沖「俺にゃ、それだけとは思えないんですけどねィ」
俺の目に映った沖田くんの顔は、明らかにどこか不機嫌で、いつも何を考えているのか分からないような目をしているのに、その目からは確かな怒りのようなものを感じとれた。
銀「……なにが言いてぇんだよ」
その顔に一瞬目を丸くさせ、すぐに平常を取り戻すと俺はそう聞いた。が、「それも旦那は分かってんでしょどうせ」と。よく分からねぇが酷い言われようだ。
銀「あ?こちとら全く身に覚えが……」
沖「旦那は怖いんでしょ。アイツがいなくなることが」
……と、沖田くんから放たれたそんな言葉に、俺は息を呑んだ。一瞬、息をするのを忘れた。手に持ったジャンプを落としかけた。
銀「…ハ、……何言って…」
沖「図星でしょ」
銀「…」
何をバカなことを言ってんだ、と、笑い飛ばしてやろうとしたのに、俺は少し掠れたような声しか出せなかった。返す言葉も見つからねぇ。俺を貫くようなソイツの目線から逃げるように、俺はコンビニの簡素な床に視線を落とした。
…確かに、図星だった。
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廣岡唯 - 頑張れよ待ってるよ (12月26日 20時) (レス) @page1 id: 4e412208c6 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - ピピコさん» 待ってます! (2017年6月16日 21時) (レス) id: 2e2daa92b8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - さなさん» わわ!さなさん!コメントありがとうございます!!物語が今最大級に盛り上がっています!!(多分)頑張らせて頂きます!! (2017年6月16日 20時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - すごく続きが気になります!頑張ってください! (2017年6月16日 19時) (レス) id: 2e2daa92b8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 千日紅さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも少しでも素敵な物語を書けるよう頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです!コメントありがとうございます!! (2017年6月16日 14時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年5月27日 20時