私だって。 ページ33
絢乃side
なんで、Aにりんたろーをとられるんだろう。
私のどこがダメなのよ。
「あやのー?あんた、リレー選手でしょ?次だよ!急いで。」
「あーごめん。今行く。」
せっかくの体育祭。
りんたろーのハチマキを貰うつもりだった。
でも、そのハチマキはAの頭の上にのっている。
今まで、告白できたことがない。
私が好きな人はみんな、ほかに好きな人がいる。
今回だって、気づいた時にはもう、りんたろーは鈴村さんのことしか見てなかった。
でも、チャンスはある。そう信じてたのに、ダメだった。
「絢乃ちゃん、お疲れ〜〜かっこよかったよ。」
そう言って、ニコッとする早見。
この人のせいで、私はりんたろーをとられた。
「何?」
「謝ろう、と思って。ごめんなさい。
勝手に角名とAをくっつけて。
でも角名じゃないと、Aは愛を知らないまま、生きることになる。
好きな人がそんなのって、辛いじゃん。だから、ごめんね。」
りんたろーじゃないとダメなのは、私も………じゃないか。
「そ。別に、私は気にしてない。また、新しい人を探せばいいだけのことだし。」
「嘘つくなよ。絢乃ちゃん。」
「うるさい。そんなの、自分がよくわかってるよ。」
視界がぼやけている。
でも、でも、仕方ない。
「仕方ないでしょ。私はずるい人間だもん。
人の彼氏を奪って、人を傷つけて。
こんなんでも、告白される。
嫌われて、当然。うざくて当たり前。
好きな人にも好かれない。
なによ?文句ある?」
というと、早見は急に爆笑しだしや。
「強そうな絢乃ちゃんでも、実は弱いんだ。」
「はっ。強い人間とか、いるわけないじゃん。」
ムカつく。
みんな弱い。
でも、どんな世界にも、ヒロインはちゃんといる。
そして私は、ヒロインをいじめるいじめっ子。
だれも、私を助けてくれない。
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:零 | 作成日時:2022年1月21日 11時