検索窓
今日:295 hit、昨日:557 hit、合計:1,509,616 hit

42.夢のよう ページ42

.







「えぇー。」 「まだ時間あるやん」 「先生早ない?」

「ちょ、うちまだ先輩と話せてないんやけど…!」




至る所から不満そうな声が聞こえてくる。








え、もう帰る時間なの??



少しずつ集まっていく生徒を見ながら口を噤んでいると、

ぽん、と大きな手が頭の上に置かれた。






「Aちゃんも行きな。置いてかれちゃうよ」


「うん……」






まるで、ちっちゃな子ども相手に言い聞かせるような感じで
優しく言われる。





まさかこんなにも離れ難いなんて。

私は自分が思っている以上に彼が好きなのかもしれない。







「お友達すっごいこっち見てるし」


「え?……あ、ほんとだ」





角名くんの視線の先を見ると友人が満面の笑みで

Aーー!!と手をブンブン振っていた。



腕取れそう。なんて二人して笑い合った。





そんな友人の元気な姿のおかげか。

重たくなっていた気持ちが徐々に軽くなる。






「じゃあまたね」


「うん。また学校で」


「ん。気をつけて帰りなね」


「ありがとう。角名くんもお疲れ様、ゆっくり休んでね」






別れ際、そう言って笑いかけると、

角名くんはもう一度頭を優しく撫でて笑ってくれた。




バレー部や応援団の皆さんとお別れをして東京の会場を後にする。









学校へと帰る途中、友人に角名くんとの事を問だたされ、

隠すことなく照れながら全て話した。



彼女は自分のことのように興奮して。

周りを気にせず大声で叫んでは抱き着いてきた。



あとでもう1人の友人(吹奏楽部)にも、
お疲れさまの連絡と角名くんとの事を報告しよう。







あ、そういえば。


最後のほう角名くんを独占しちゃってたけど良かったのかな?

他にも彼と話したい人がいたんじゃないだろうか。



例えば、あの眼鏡をかけた叔父さんとか。

叔父さんも角名くんとお話できてたらいいな。




なんて、ちょっぴり思った。

43.耳打ち→←41.涙



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2080 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3228人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。