角砂糖３つ分の､【角名倫太郎】 (ページ43)

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43.耳打ちページ43

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「なーんで朝っぱらから集会するん」

「めっちゃ気ぃ重いねんけど」

春高が終わって最初の学校。

なぜか２年生は三学期１限目から学年集会があり、
それぞれに体育館へと集まっていた。

もうすぐ３年だから身を引きしめて、とかだろう。

「あ、今回も大仏でいくん？」

「いや今回は土偶でいくわ。こんなん」

「大仏ん時とあんま変わってへんやん」

相変わらず元気な友人ふたりと笑い合う。

土偶と大仏さまの違いで盛り上がっていると、

隣に遅れてやってきた1組男子が並んだ。

あ、1組さん。

少しだけ緊張しながら視線を動かす。

列の後方。治くんや他の男の子に交じって気怠そうに
笑っている角名くんがそこにはいた。

わあっ。ちゃんと帰って来てる……！！

すでに帰ってきているのは知っていたのに、

春高以来のその姿にじーん、となる。

こそこそとその姿を眺めていると、

こちらをチラ見した角名くんと目が合った。

口パクで『ただいま』と笑いながら小さく手を振られる。

私もこっそり手を振り返そうとすると、

「バレてんで～A」

友人が後ろから肩口に顔を乗せて抱きついてきた。

ガチンッと表情や動きともに固まった私に、

角名くんは口元を手で押さえて必死に笑いを堪えていた。

*

集会が終わって体育館の出入口へと向かっていると、

とんとん、と後ろから肩を叩かれた。

「ん？……わっ、角名く、」

「しーっ」

振り向くと、そこにいたのは角名くんで。

人差し指を口に当てて声を抑えるよう強いられる。

ぎゅっと口を閉じたまま数回頷く。

すると角名くんは長身の体をぐっと屈めて、

私の耳に手を添えながら顔を寄せてきた。

そして控えめな声で「昼休み。2年校舎の準備室」と告げた。

え。準備室……？？

面を食らった顔の私に彼はにっこりと笑うと、

そのまま歩いて行ってしまった。

昼休みに準備室に来てってこと…？？

え、ええ。何それ。すごくドキドキする。

でもなんで準備室………あっ。

学校戻ったら1回会お。ちゃんと2人きりで。

春高での角名くんの言葉を思い出しては、

うあああっと高揚して両手で顔を挟みこんだ。