17.土曜日 ページ17
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あっという間に日付は過ぎて気付けば土曜日。
角名くんとの約束の日になった。
HRを終えて自分の席で準備をしていると、
「はい、じっとして！」
「えーっとコンセント…」
ヘアアイロンらしきものを手にした友人たちが、
慌ただしく私の所にやってきた。
え、なになに怖い！と驚いたものの言われた通りじっとして。
あとはされるがまま髪の毛をいじられる。
しばらくして、はい終わり！と満足げに肩を叩かれる。
「よし。ばっちり」
「ほれ鏡。Aほんま似合うわぁ」
鏡を見ると毛先だけゆるく動きをつけられた髪の毛。
わ、すごい。後ろも髪ふんわりしてる…！えっすごい！
ダメだ、凄いしか出てこない！語彙力が！！
鏡に映った自分はいつもと違って少しだけ大人っぽく見えた。
「ありがとう、…うれしい！」
まさかのサプライズに胸がいっぱいのまま、
友人たちに手を振って教室を後にした。
廊下の生徒をすり抜けて。
髪の毛を揺らしながら。
少し緊張しながら小走りで向かう。
角名くん気付いてくれるだろうか…？
なんてちょっぴり思ってしまったのが恥ずかしい。
駆け足で階段を降りていくと偶然にも階段下には治くんがいて。
こちらの存在に気付いては、
おっとりとした表情で「おー」と手を振ってくれた。
「お疲れさん。角名さっき行きよったで」
今朝、双子とバスで一緒になったときに聞いたことだけど、
治くんは角名くんから直接報告があったらしく。
今日のお出掛けのことを既に知っていたらしい。
「早いね。…治くんは誰か待ってるの？」
「銀と侑が便所行ってんねん」
「そっか じゃあ気をつけて帰ってね」
お疲れさま、と手を振って靴箱に行こうとすると、Aと呼び止められた。
「それ、ええ感じやん」
そう言って優しく微笑みながら私の髪を指さした。
「！…ありがとっ」
何だかその一言がとっても嬉しくて。
少し照れながら目を細めて笑った。
治くんとサヨナラして緊張感をさらに高めながら、
角名くんの待つ靴箱へと足早に向かう。
ゆっくり息を整えながら靴箱に着くと、
体を壁に預けてスマホを眺める角名くんの姿があった。
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作者名：. | 作成日時：2020年1月29日 23時
