02.ウワサの ページ2
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結局、休憩時間に角名くんの所に行くことはなく。
英語の小テストも散々な結果となった。
覚えたはずの単語や英文は頭の中から勢いよく消えてしまい、
逆にインプットされたのは、
『Aちゃんの事めっちゃ可愛い言うてた』
小テスト前の侑くんの意味深な一言。
それは授業中もぐるぐると頭の中を巡って、
英語の内容があまり頭に入って来なかった。
しかし、のんびり流れのいい私の脳内は、
お昼の休憩が終わる頃になると、
その言葉の存在をほとんど消しかけていた。
*
「むり。寝る自信しかないわ」
「ほんまそれな」
午後は学年集会があり体育館に2年生全員が集まっていた。
まだ全クラス揃っていないためか、
至る所でそれぞれに生徒が集まったりして穏やかな空気が流れている。
「でもあんた前列やし寝られへんやろ」
「目ぇ開けて寝るんよ。大仏みたく半目で、こう…」
「うわ、その顔やばない?」
友人二人のやり取りを見て笑っていると、
少し遅れて賑やかな1組の男子が横に並んだ。
…………あ、1組さんだ。
と隣に並ぶ男子の列をじーっと流れるように見つめる。
するとずば抜けて背の高い男の子と目が合った。
「…………!!」
噂の "角名くん" である。
反射的にパッと目を逸らした。
心臓がバクバクと勢いよく動き出す。
びっ、くりしたぁ……!!
まさかこっちを見ているとは思わなかった。
「…………」
でも、なぜか変に気になって。
もう一度こっそりと彼に視線を向けてみる。
すると向こうも男友達と話しながらこちらを横目でチラッと見た。
ひいいっ!?とまた慌てて目を逸らす。
んん〜〜もう無理……!!
変に意識してる女とか思われたらイヤだ。
見ないようにしないと!
焦る心を落ち着かせていると「A!」と背中を叩かれた。
「なーにソワソワしとるん」
「なんや変なもんでも見たん?」
「えっ。あ〜あはは、違う違う」
だ、大丈夫。変なもんは見てない。
なにもない。何にも見ていない、うん。
このときの私は二度も角名くんと目を合わせてしまったことに
動揺を隠せずにいた。
彼がまだ、こちらを見ているとも知らずに。
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作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時