06.愛称 ページ6
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「あっ。双子とギンジー」
角名くんとの初会話?から数日。
体育を終えて友人たちと教室へ向かっていると、
廊下の一角で双子と銀島くんが何やら騒いでいた。
ちなみにギンジーというのは友人がつけた銀島くんの愛称だ。
にしても、あのメンツは男子バレー部。
ということは……
「と、すなりん」
「あっほんまや。すなりんもおったんや」
ぴたり。
死角から現れたその人物に動きが止まる。
あの日以来、角名くんとは特にこれといって話すこともなく。
いつもと変わらない日々を送っていた。
主に騒いでいたのは侑くんと治くんで。
お互いの頬を引っ張っては何やら言い争っていた。
残りの二人はそれを見て笑っている。
「なにしてんのバレー部は」
「双子またケンカしとう、ウケる」
子供のような喧嘩をする宮兄弟に、
三人で笑いながら教室に向けて踵を返す。
あ、そういえば。
「みんな角名くんのこと『すなりん』って呼ぶんだね」
ふと重たく緩んでいた髪の毛を解きつつ尋ねてみた。
前々から周りの子たちが角名くんをその愛称で呼んでいるのを聞いて不思議に思っていたのだ。
「なぁに?気になるん??」
「珍しいやん。すなりんに興味あるんや」
「や、ない!違う!」
ニヤニヤと私の顔を見つめてくる二人に、
思わず大きめの声で反応してしまう。
「あれな。角名倫太郎やから略して『すなりん』って」
「2年女子は大抵すなりん呼びやんな」
「ほお、なるほどね」
角名倫太郎だから、すなりん、なのか。
なんて可愛らしい愛称だろう。
あのルックスで "りんたろう" って名前も、
なんだか可愛い気がする。
この間は妙な怖さしか感じなかったけども。
遠い目をしながら二人の後ろをゆっくりめに歩いて、
ぱらぱらと流れ落ちる髪の毛を1つにまとめる。
うまく髪がまとまってきた時だった。
「あ、ストップ。待って」
「ぶわああっ!!?」
背後から突然、髪を束ねていた手を上から重ねるようにして大きな手が掴んできた。
反射的に手を放してしまい髪がするっと落ちる。
これが誰の仕業なのか。今わたしの後ろに誰がいるのかは、
先に後ろを振り返った友人の言葉で分かった。
「おっ、すなりん。」
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作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時