検索窓
今日:213 hit、昨日:380 hit、合計:1,512,990 hit

30.いいよ ページ30

.







「角名、試合は」


「あーさっき負けた」


「何しとんねん!」






お前それでもバレー部か!と侑くんがツッこむ。





そんな二人のやり取りを聞いてても、

さっきから。角名くんが隣にきてから全く落ち着かない。





お互いジャージを着ているとはいえ、

体はほぼ密着した状態にあるわけで。





ぶつかった時も思ったけど細身なのに、さすがは運動部。

その体はしっかりと鍛えられている。




ましてや高身長な角名くんと並ぶと、

自分との体格の差に胸がぎゅうとなった。









……あつい、







服をパタパタとしつつ深呼吸をしていると、

もう俺行くわ、と侑くんの声がした。






「えっ、もう行くの!?」






慌てて角名くん越しに侑くんを見る。






「試合前にアップすんねん。解説は角名にしてもらい」




そう言うと引き止める暇もなく、

侑くんは軽く微笑みながら行ってしまった。






次の試合までまだもう少し時間あるのに。


そんな急に、この状態で2人きりって……

ただでさえ落ち着いていられなのにっ!!!





んん、と侑くんが行った方を見つめていると、







「そんなに侑がいい?」


「……え?」







角名くんが小さな声で呟いた。







「俺、侑より上手に解説できるんだけど」








手すりに前屈みに寄りかかって、

目線は試合を向いているけど、

その言葉は真っ直ぐ私へと向けられていて。



心なしかその表情はムッとしているようだ。









え、これ。私の思い違いじゃなければ……








拗ねてる、よね……??


うそ、待って。本当に待って。










……かわいい。










そう思うと体は勝手に動いていて、

つん、と角名くんの頬を人差し指でつつく。






角名くんは目を見開くと、

手すりに預けていた体を少しだけ起こした。



そして何も言わず、ただ私の方をじっと見つめてくる。









「あ、ごめん…つい」








どうしよ。勝手に触るなよって思われたかも。






急に恥ずかしくなって手を引こうとすると、

角名くんの手が私の手を包み込んだ。


くいっと手を引き寄せながらニヤリと笑う。







「いいよ。もっと触っても」


「……っ!?」






まるで自分のほうに誘い込むような。

角名くんのその笑顔にまた顔が熱くなった。

32.動揺→←29.割り込み



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2085 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3240人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:. | 作成日時:2020年1月29日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。