バケモノ ページ6
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え、何？
とっさに振り向くけど、周囲には相変わらず。
昔から何も変わってない、古い倉庫街。
ざわ、ざわと、一定のリズムで波音が響いている。
すこし湿った、冷たい海の風と。
・・・なんか、気味、悪い。
今の時代、日常に不穏を感じることなんて滅多になくって。
――俺の世代が生まれる10年以上前に発表されたという、世界平和統一の宣言。
人々の、幸福水準が高く。
貧困問題も、犯罪率も、半世紀前の3分の1。
平和な国。平和な街。
だからこそ、この慣れない不穏にやけに背筋が乾く。
カレンは大丈夫やろか。
まあ待っとけって言われたし・・・
いやでもここは行ったほうが・・・
そんな葛藤を繰り返すこと１分
意を決してコンビニまで迎えにいこうと動き出した、
――――その、直後やった。
大「！？」
ぐしゃ、と。
背後で鳴り響いた、いやな音は。
耳にはりつくような、そんな粘着質な衝撃音。
ばくばくと脈打つ胸を押さえて、
振り返ったら、思考が停止した。
今の今まで俺が座ってたベンチが、壊れて――――その瓦礫の上に――――くろい、真っ黒い塊が落ちている。
ソレは、ゆらゆらと生きもののように蠢きながら。
牙。
爪。
片方だけの、翼。
まるで奇形児のような、すがたかたち。
ふらりと身を起こすと、鎌首をもたげ、
血の透けたように紅い両目を光らせる――――
大「・・・・・」
なに？
何なん？
何のドウブツ？ポケ◯ン？
『テン、シ、シネ、テン、テ、シ』
唸るように地を這うその音が
ソレの鳴き声なのか言葉なのか
まったくとうぜん、わかるはずもなくて。
ニゲロ
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ、逃げろ
逃げろ！！！
頭の中でガンガンに鳴り響く警音
ソレが俺を睨みつけて――――でも、
足が竦んで動かれへん。
声も上げられずに立ち尽くす俺に、ソレはとうとう、牙を剥いて飛びかかってくる。
もしかして、俺、――死ぬ？
世界が一瞬、スローモーションになって――――…
大「うわ・・・っ」
直後、左肩に激痛が走った。
誰かに思い切り腕を引かれたんやと、
気がついたときにはすでに地面に倒れこんでいて。
ほぼ同時に、ソレが無様にアスファルトへ突っ込んでいく。
またしても響く、ぐしゃりと、いやな音。
雷が光って落ちるみたいに・・・それは唐突で、一瞬の出来事で。
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べに(プロフ) - 稲妻さん» わ〜！ありがとうございます！！気まぐれ更新ですが楽しんでいただけるよう頑張りますね〜！！ (2020年2月16日 23時) (
レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
稲妻(プロフ) - めっちゃ面白いです！更新楽しみにしてます！ (2020年2月16日 15時) (レス) id: b45af291eb (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - megumonkeyさん» はじめまして！コメントありがとうございます〜！！わたしの趣味全開ですが、そう言って頂けるととってもうれしいです…！気まぐれな更新にはなると思いますが、楽しんで頂けるようがんばります！(^^) (2020年2月13日 0時) (レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
megumonkey(プロフ) - はじめまして。すごくスケールの大きい話でドキドキ楽しませて頂いてます。大倉くんがこれからどうなっていくのか、とても楽しみです。次の更新楽しみにしています (2020年2月12日 18時) (レス) id: fa40db60d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2020年2月11日 23時
